【8月21日 AFP】ベネズエラの首都カラカス(Caracas)近郊のヤレ(Yare)第1刑務所で19日に暴動が発生し、20人以上が死亡した。ベネズエラ当局が20日明らかにした。この刑務所は収容者で過密状態にあったという。
 
 イリス・バレラ(Iris Varela)刑務所相が国営VTVテレビを通じて発表したところによると、「暴力で刑務所内の支配権を得ようとした」受刑者らが暴動を引き起こし、20人以上の受刑者と受刑者の家族1人が死亡したという。VTVテレビはこの他に負傷者も出ていると報じたが、詳しい情報は明らかになっていない。

 民間の受刑者人権団体「Venezuelan Prison Observatory」のウンベルト・プラド(Humberto Prado)代表はAFPの取材に、20日朝までに25人の遺体が安置所に移送され、40人がけがの手当てを受けたと話した。現地の報道によると、暴動発生時、刑務所には受刑者の家族ら数百人が面会に訪れていたという。 

■刑務所内で2グループが対立

 バレラ刑務所相は、暴動の原因は刑務所内で激しく対立していた2つの武装グループにあると非難した。

 地元メディアは、暴動を引き起こしたのは、多数の収容者で過密状態にあった悪名高いラプランタ(La Planta)刑務所からヤレ刑務所へ移送された受刑者らだと報じている。ラプランタ刑務所は5月に数週間におよぶ激しい暴動があり、閉鎖されていた。

 プラド代表も、ラプランタから多数の受刑者が移送されたことでヤレ刑務所の過密状態が悪化し、緊張が高まった可能性はあるとみている。

 ヤレ第1刑務所はウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領が陸軍中佐だった1992年にクーデター未遂事件を起こして逮捕され、収容されていた刑務所。定員は750人だが、プラド代表によれば現在は定員の4倍近い3150人が収容されているという。(c)AFP/Lissy de Abreu