『少女は自転車にのって』(2012)は、そのように評価することが出来る映画ではないでしょうか。
残念ながら、私自身は映画館でみることは出来ませんでしたが、このDVDでも十分に感動できる作品でした。
また、この作品自体女性差別というものを正面から描いている作品です。やはり、監督自身がサウジアラビア初の女性監督ということもあり、描くことが出来た作品ではないでしょうか。
監督も含めた出演者の方々自身がインタビューの中で証言しているように撮影自体順調に進んだわけではありませんでした。
作品の中に描かれてある女性差別というものは現実社会の中にもあります。
その壁を乗り越えてこのような作品を描くことが出来たことを素直に評価したいと思います。
ちなみに、我が国にはそんなひどい女性差別はないと思っている方はいませんか?
我が国でも医学部の大学入試で平然と女性差別は行われていました。
そして、その問題がメディアに取り上げられて散々批判されたのにも関わらず、東京医科大の同窓会が昨年12月に発行した機関誌に、「男子医科大ならよかった」などという問題発言が掲載されていることが明らかになりました(1月29日読売新聞参照)。昨年12月といえば、ニュースなどでも散々医学部入試における女性差別が問題視されていた時期のはずです。
発言が事実とすれば(機関誌に掲載されているのですから事実なのでしょうが)、とうてい看過することは出来ない発言だと思います。
この映画を通して明らかになるのは、女性差別が激しいサウジアラビアという国の実態です。
私たちは、この映画を通して単にサウジアラビアという国の実態を知るということで終わるのではなく、私たち自身の国についてあらためて考えるきっかけにしては如何でしょうか。
(2020.1.30記)