大日本印刷、紀伊国屋書店、コダックなどが国会図書館から蔵書の電子化業務を受注した。戦前から1968年までの書籍や雑誌など48万冊分が対象で、受注額は合計約46億円。蔵書を刊行時期などで8つに分け、競争入札で担当する会社が選ばれた。各社は今回受注した業務を通じて古書の電子化ノウハウを蓄積し、大学などの歴史的資料や専門書を電子保存する業務の受託に生かす。
各社が受注したのは紙の書籍のページを読み取って画像化し、書名や著者、目次といった検索用のデータを整備する業務。国会図書館がマイクロフィルムで保管している書籍も同様の手順で電子化する。
システム開発の日商エレクトロニクス、帳票の読み取りシステムを製造しているムサシなども業務を受注。1社あたりの受注額はムサシの10億円が最高だった。
電子化した蔵書は国会図書館内の情報端末で検索したり閲覧したりできる。著作権が切れた書籍の画像は、図書館のホームページで無料で公開。国会図書館は書籍の画像データを地方図書館に貸し出すことも検討している。
国会図書館は昨年末から大規模な蔵書の電子化に着手。これまでに40万冊程度の電子化を終えている。今回の発注分で、計画していた1968年までの蔵書 90万冊の電子保存をすべて完了。127億円の予算を確保していたが、当初見通しより落札金額が低く約40億円が余る見通し。残った予算で68年以降の刊行物の電子化も進める。
海外では米グーグルが大学図書館などの協力で蔵書700万冊の電子化を済ませ、著作権が切れたものをネットで公開する「ブック検索」サービスを提供中。欧州連合(EU)加盟国の国立図書館なども、共同で書籍や公的文書など1000万点を電子化し、順次公開する計画だ。
国会図書館は電子化した書籍を出版社や著者の許諾を前提に幅広く活用したい考え。小学館や講談社など一部の出版社とは今秋にも、書籍全文を検索可能なサービスの実証実験を始める。電子化した蔵書の活用場面が広がれば、電子書籍の普及にもつながりそうだ。
「国会図書館蔵書電子化 紀伊国屋など48万冊受注」
Source: blog.livedoor.jp