※日経エンタテインメント! 2024年3月号より。詳しくは本誌参照

エンタテインメントを楽しむのに日常的となった“推し活”。あまねく広がった“推し活”のなかで、「本当に推されている」「これから推される」人や作品は何なのか。データ編で、今推されている人や作品をマッピングで俯瞰。続いて盛り上がるボーイズグループと“アラウンド25”男優にスポットを当てた。さらに話題の推せるアニメ作品と24年注目の推し動向も取り上げる。

 エンタテインメントを楽しむのに日常的となった“推し活”という言葉。2021年「ユーキャン新語・流行語大賞」に「推し活」がノミネートされてから2年あまりがたつが、「推し」(=人に薦めたいと思うほど好感を持っている人や物)を応援する行為=“推し活”は、積極的に「情報発信」や「コミュニケーション」を行い、イベント参加やグッズ購入など様々な行動を生むことから、ポジティブなものとして広まっている。

 コミケや沼(※1)を紹介する番組などを見ても分かるように、その対象は想像を超えて幅広い。エンタテインメント界の中核を担うアイドルグループやアーティスト、俳優はもちろん、YouTuberやVTuber、ゲームやアニメなどの作品そのものや中のキャラクターに加え、歴史や文房具、収集品や趣味といったジャンルにも向けられる。さらに、コラボレーション商品やスイーツ、推しの担当カラーやイメージに合わせたファッションや化粧品など様々なシーンで推しを意識した製品が生まれ、推し活向けのホテル、グッズ専門店なども登場。業界の枠を超え、あらゆる企業が「新しい消費行動」として推し活マーケティングに期待を寄せている。

 推し活の中心は、ネットでのコミュニケーションが達者なZ世代とされることが多いが、一方で、推し活をしている世代も広がっているという指摘もある。その経済効果は、矢野経済研究所の発表(※2)などを見ると、22年度の7000億円台からさらに拡大していると推測される。

※1…推し活などで使われる“沼”とは、深くとらわれたりする対象のこと。「沼にはまる」は、周囲が見えなくなるくらい夢中になること。
※2…矢野経済研究所の「オタク」主要分野別市場規模推移(23年12月発表)を参考にした。

 一方で昨年ぐらいから、「推し依存」や「推し活疲れ」といったネガティブな単語もささやかれるようになってきた。旧ジャニーズ事務所や宝塚歌劇団などの問題で業界に地殻変動が起こり、応援したい気持ちが揺らぐといったことも原因の1つだろう。あまねく広がった“推し活”のなかで、「本当に推されている」「これから推される」人や作品は何なのか、見極める必要がある。

「隣は何を推す人ぞ」を知る

 そこで今回企画したのが、この特集だ。そもそも推し活は、ピンポイントでターゲットに集中するため、同じカテゴリーであっても何が推されているか把握するのは難しい。そのため本誌では、まずPart1のデータ編で、今推されている人や作品をマッピングで俯瞰。円の大きさと世代・性別軸上の配置で、島宇宙化した推し作品の分布が分かる。興味深いのは、センターに近い作品ほど、ジェンダーやジェネレーションをまたいで支持を得ているということでもある点だ。

 Part2では、今最も盛り上がりを見せるボーイズグループにスポットを当てた。百花繚乱状態のボーイズグループの推しランキングから見えてきたのは、王道路線だけでなく、斬新なコンセプトや独自の武器を持ったグループ、そしてK-POPの存在だ。

 Part3の俳優編では、ニューフェースの活躍著しいZ世代、なかでも“アラウンド25”男優にスポットを当て、推される作品や主役候補といった視点で紹介する。今後の新たな推しを探す一助となるだろう。

 そしてPart4のコンテンツ&トレンド編では、話題の推せるアニメ作品と、推し活の意義の調査や、推し活研究家による24年注目の推し動向といったトピックをまとめている。

 いまや、エンタテインメント業界だけでなく社会全体を知るためにも無視できなくなった推し活。推し活をする人々の多くが、推しへの愛とともに、推し活する楽しさをも語る時代となっている。その最旬の新潮流を、次のページからひも解いていく。

女性はグループ・男性はゲーム

 アイドルやアニメ、ゲームなどのブランドを、どんな人たちが推しているのか。推しているブランドを年齢と性別に分けて調査してみたのが下図だ。

性別と年齢で“推し”はどう違うのか 分布図

 図にマッピングしているのは2023年12月16日に行った調査で、「推していると答えたファン人数」が日本の人口構成で重み付けを行った結果、5万人以上となったものが対象だ。二重丸になっているものは中心の濃い円が平均年齢と性別割合のポイントを示し、薄い円は推している人の多さを表している。

 なお今回の調査は「推しているブランド名」を聞いたものだ。そのため、『ONE PIECE』のようにマンガ、アニメ、実写ドラマがあるものでも、どれか1つではなく、ブランドのファン全体の数値を示している。

 それでは図を見ていこう。図の上下は推している人の平均年齢、左右は男女の割合を示す。右に行くほど女性、左に行くほど男性の割合が多くなる。例えば図のほぼ中央にある映画は男女の比率が50%ずつ、平均年齢は45.6歳となる。

 今回の調査で「女性が100%」というブランドは全部で9つあった。

<続きは日経エンタテインメント! 2024年3月号をご覧ください>

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「日経エンタテインメント!2024年3月号」の主な内容を紹介
【劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦】
●監督が明かす劇場版『ハイキュー!!』の作り方
●【対談】村瀬 歩(日向翔陽役)・石川界人(影山飛雄役)
●【インタビュー】梶 裕貴(孤爪研磨役)
●【インタビュー】中村悠一(黒尾鉄朗役)
●【SP座談会】『ハイキュー!!』歴代担当編集者座談会
●【インタビュー】SPYAIR

【最旬“推し”新潮流】
●【データ編】世代・性別<超>マッピング
●【ボーイズグループ編】韓国勢に加えて新勢力も急成長
●【俳優編】主役候補が大渋滞 “アラウンド25”が熱い
●【俳優編 インタビュー】中川大輔
●【コンテンツ&トレンド編】推せるアニメが続々 次に来る推しも解説

【今月のインタビュー】
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【注目作研究】
●『おっさんずラブ-リターンズ-大解剖』(【インタビュー】金子大地/眞島秀和)
●劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(【インタビュー】保志総一朗/田中理恵/鈴村健一/下野 紘/石田 彰)
●『俺だけレベルアップな件』

【トピックス】
●ゴールデングローブ賞『君たちはどう生きるか』受賞の舞台裏ほか
●BABEL LABELが目指す未来

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