伝統製法ではEU輸出できない「県の至宝」…ひと工夫して基準クリア、〝ヌーベルかつお節〟欧州へ ブランド化狙い統一名称を検討

2025/03/05 06:03
かつお節
かつお節
 鹿児島県は3日、県水産技術開発センターが開発し、欧州連合(EU)の食品安全基準をクリアしたかつお節の名称を今後検討すると明らかにした。カツオをまきでいぶして乾燥させる焙乾(ばいかん)工程を減らすなど、伝統的製法と異なるため、区別してブランド化する。県議会一般質問で西村協議員(自民、枕崎市区)の質問に北村貴志商工労働水産部長が答えた。

 名称は、水産加工組合やかつお節業者の意見を踏まえて決める。輸出促進に向け、かつお節をPRする狙いもあり、北村部長は「海外では日本食レストランが増えている。和食のだしに欠かせないかつお節のポテンシャルは高い」と答弁した。

 県によると、焙乾工程で付着する特定の成分は、一部の国で基準値が定められている。特にEUは厳しく、伝統的製法だと基準値を上回り輸出できていない。

 同センターは焙乾時間を短縮し機械乾燥にかけることで、基準値以下に低減。味や香りの評価は従来品より弱いが、他に大きな差はないという。今後、枕崎市や指宿市の工場と連携し、実用化に向けて品質や費用を検証する。

 2023年度の県内かつお節輸出額は5億円(147トン)で、22年度は7億円(176トン)、21年度は17億円(377トン)。カツオ価格や製造費の高騰で、減少傾向にある。23年度の輸出先は米国が6割、カナダ、韓国が各1割となっている。

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