交通事故死が高止まりしているアマミノクロウサギ=2024年8月、奄美大島
鹿児島県の奄美大島と徳之島に生息する国指定特別天然記念物アマミノクロウサギの2024年の交通事故死は、環境省の集計で165匹前後となる見込みであることが3日、分かった。10年ぶりに前年より減ったが、3年連続で100匹を超え高止まりの状況が続く。同省によると、奄美大島での外来種マングースの根絶や野生化した猫(ノネコ)の対策により個体数が回復した影響があるとみられる。
23年の交通事故死は過去最多の175匹(奄美大島147匹、徳之島28匹)だった。24年は精査中だが、奄美大島は約120匹、徳之島は40匹以上になる見込み。
環境省によると、保護対策により、奄美大島と徳之島のアマミノクロウサギの推定個体数は21年時点で約2万2000匹まで増えているとみられる。これまで見られなかった集落近くにも出現するようになっており、交通事故は奄美大島では国道や県道で、徳之島では北部の道路で増えているという。
同省奄美群島国立公園管理事務所の鈴木真理子希少種保護増殖等専門員は「今後は保護だけでなく、いかに共存するかが重要となる。車の運転時の注意を呼びかけ、人もアマミノクロウサギも安心して過ごせるように対策を進めたい」と話した。