ジェスチャーゲームを楽しむ児童ら=錦江町の田代小学校
鹿児島県錦江町の6小学校のうち、大原、池田、宿利原の3校が3月末で閉校する。3校は再編統合先の田代小、大根占小との合同での授業や修学旅行のほか、タクシーでの通学などの試行錯誤を続ける。児童が4月から、スムーズに学校生活が送れるように大人が知恵を絞っている。
「だるまさんが転んだ」「あっ動いた」。1月28日あった田代小、大原小の3年生同士の交流学習。大原小の児童が出向いた田代小の体育館には笑い声が響き、田代小8人、大原小1人が鬼ごっこやジェスチャーゲームで盛り上がった。
全児童68人の田代小に、4月に再編統合する大原小。この日は統合後の通学を見据え、全児童7人がバスやタクシーを使って登校した。国語や算数などの授業を受け給食を共にし、一日の流れを確認した。
大原小3年の女子児童は「最初は緊張したけど、昼休みに遊んだりして楽しかった。4月からも仲良くやっていけそう」と笑顔。田代小3年の女子児童は「ジェスチャーゲームなど全てが面白かった」と満足した様子だった。
錦江町では4月から宿利原(全児童5人)、池田(同10人)の2校が大根占小(同102人)に再編統合される。神川小(同35人)は単独で存続することになっている。
町では2023年に再編統合推進委員会を設置。保護者や住民、教職員らが、統合の時期や通学方法などを協議してきた。しばらくは旧学校の標準服を着用可能とすることや、通学にはバスだけではなく、タクシーを活用することなど細かな点を詰めていった。
学校側では、少人数での複式学級から、人数の多い単式学級に入っていく児童の心理的負担を減らすため、交流学習を進めてきた。
昨年10月には神川、池田、大根占の3校合同で修学旅行して親睦を深めた(宿利原小には対象者なし)。田代、大原小では、10年ほど前から交流学習や集団宿泊学習などに取り組む。
町でも、全校の児童の交流の場となるイベントを続々と企画。クイズに答えて役場を回るスタンプラリーや、漫画やICT(情報通信技術)のワークショップ、英語の日帰りキャンプを実施し、子どもたちのふれあいの場を増やしてきた。
その成果もあり、丸一日の交流学習を終えた田代小の榎元寛之校長(55)は「子どもたち同士で元々顔を知っており、仲良く歓迎ムードで良かったと思う。4月からもスムーズにいくように努めたい」と述べた。
再編統合はこれからが本番だ。こうした事前の準備はもちろんだが、がらりと変わる環境に子どもがちゃんとなじめるのか、学校や家庭の目配りもますます大切になる。今後は廃校跡地の活用や地域活性化対策、さらなる小中連携強化なども宿題となりそうだ。
◇
閉校式の日程は2月8日大原小、16日池田小、3月2日宿利原小。3月末でそれぞれ140年近い歴史に幕を閉じる。