スタジアムの無線中継器が地域つなぐ J1鹿島が官民で通信網構築へ

中村幸基
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 サッカーJ1鹿島アントラーズが、地元の茨城県鹿嶋市などと官民連携で地域の無線通信網づくりを始めた。ホームの県立カシマサッカースタジアムに設けた中継器で広範囲の通信ができるようになった。地域のイベントなどのほか、災害時の活用も視野に入れる。

 運営会社の鹿島アントラーズ・エフ・シーと鹿嶋市、無線・音響・車載機器大手のJVCケンウッドの3者が、1月31日に発表した。

 アントラーズは2024年10月にケンウッドとクラブパートナー契約を交わした。試合運営用に同社のデジタル簡易無線中継システムの中継器をスタジアムに据えた。

 試合時には平均で2万人を超える来場者があり、運営には数百人のスタッフが奔走する。以前もスタッフ間の連絡に無線機を用いていたが、中継器がなかったため不通エリアがあり、伝言リレーをしなければならないなど難点があった。

 新システム導入で問題が解消され、通信環境が大幅に向上。これまで半径3キロほどだった通信可能範囲も10キロ近くに広がった。スタジアムを中継拠点にすれば、ホームタウンである鹿行地域(鹿嶋市、潮来市神栖市行方市鉾田市)のうち鹿嶋市と潮来市のほぼ全域、神栖市役所付近までカバーできるという。

 これを試合だけでなく地域のために生かそうというのが、今回の取り組み。手始めとして、アントラーズから鹿嶋市へ無線端末25台を寄贈した。

 鹿嶋市の田口伸一市長は「地域のイベントで活用できるのに加え、有事の際の迅速な情報共有手段としても生かせる。市民の安心安全を守る大きな一歩になる」と歓迎。

 ケンウッドの江口祥一郎CEO(最高経営責任者)は「地域で互いに助け合う共助コミュニティーのモデルケースになる。この取り組みを全国へ広げていきたい」と意欲を見せた。

 アントラーズの小泉文明社長は「工夫次第で様々なことができる。スタジアムから地域へ新たな価値を発信し、まちを盛り上げたい」と述べ、将来は中継拠点を増やし、県全域へ通信網を広げたい考えを示した。

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この記事を書いた人
中村幸基
水戸総局
専門・関心分野
地方自治、地域活性化