阪神・淡路大震災やオウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた1995年は、日本社会の曲がり角として記憶されている。建築家のインタビュー集「1995年以後」をまとめた東京芸術大准教授で建築家の藤村龍至さん(48)も、「社会状況全体の転換点だった」と振り返る。95年は、現代建築にどのような影響をもたらしたのか。
――1995年に対して、どんな認識を持っていますか。
「終戦の1945年、その25年後の大阪万博の70年に続き、やはり25年後の95年を区切りとして考える社会学者や批評家の方がいます。震災、サリン事件に加え、ウィンドウズ95に象徴されるインターネット元年でもあり、社会状況全体の転換点で、建築もその影響を受けていると思います」
「当時建築界では、(箱形の近代建築から脱し、崩れゆがんだような)脱構築=デコンの建築が注目されていましたが、阪神大震災では建築が倒壊し、脱構築のデザインを超えたように見えました。建築デザインで何かを表すことに無力感が漂い、建築家がデザインについて説明しにくくなりました。さらにインターネットが広がり、公共施設という建物に集まる必要性も下がりました」
拡大するオウム真理教の教団施設=朝日新聞社ヘリコプターから撮影
「そしてオウム真理教のサティアンの外観も強烈でした。倉庫のようで、建築デザインへの関心が全く感じられない。そこにショックを受けた人も多いでしょう」
――95年当時、藤村さんは高校生ですか。
「高校3年生で大学入試センタ…