●格差・貧困に効く経済学
本書の第一のメッセージは、
「経済成長が必要である」
につきます。これだけが本書のメッセージなのです。連続対談の依頼をいただいたとき、経済学者として、いまもっとも伝える必要がある、やや大仰にいえば使命感を感じたのがこの主張です。本書でとりあつかった格差と貧困の問題に一番有効なのは長期的には経済成長、短期的には景気対策です。現在起きている問題にとどまらず、システムとしてのセーフティネット確立のためにも経済成長が必要でしょう。(あとがきより) ●ケインズとハイエク、フリードマンの違い
●経済成長で格差・貧困を吹き飛ばす
●儲けはインチキか?
●年2~2・5%成長は当たり前
●景気がよければ、ダメ企業は淘汰される
●エリート官僚の堕落という幻想
●不人気な成長とインフレ
●日本人の生涯所得を決める最大の要因は?
●なぜ「溜め」は失われたのか?
●正規と非正規が連帯するためには
●格差を解消する累進課税強化
●若者に冷たいメディアと政治
【目次】
1章 高度成長とは何だったのか----戦後日本経済思想の源流と足枷
岡田靖×飯田泰之
2章 戦争よりバブル、希望はインフレ
赤木智弘×飯田泰之(司会・芹沢一也)
3章 何が貧困を救うのか
湯浅誠×飯田泰之(司会・荻上チキ)
【編著者紹介】
芹沢一也(せりざわかずや)
1968年東京生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。SYNODOS代表。慶應義塾大学非常勤講師。専門は近代日本思想史、現代社会論。
荻上チキ(おぎうえちき)
1981年兵庫県生まれ。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。批評家、「トラカレ!」主宰。テクスト論、メディア論が専門。
飯田泰之(いいだやすゆき)
1975年東京生まれ。エコノミスト。駒澤大学経済学部准教授。専門は経済政策、マクロ経済学。
岡田靖(おかだやすし)
1955年東京生まれ。内閣府経済社会総合研究所主任研究官。大和総研、クレディスイスファーストボストン(現クレディスイス証券)、学習院大学経済学部特別客員教授を経て、現職。
赤木智弘(あかぎともひろ)
1975年栃木県生まれ。フリーライター。ウェブサイト『深夜のシマネコ』運営。著書に『若者を見殺しにする国』(双風舎)、『「当たり前」をひっぱたく』(河出書房新社)
湯浅誠(ゆあさまこと)
1969年東京生まれ。自立生活サポートセンター・もやい事務局長。『反貧困----「すべり台社会」からの脱出』(岩波新書)で大佛次郎論壇賞を受賞。08年末から09年年始にかけて、日比谷公園「年越し派遣村」の運営を行う。