頸椎

頸部の脊椎骨
頚椎から転送)

頸椎(けいつい、cervical spine)は、椎骨の一部を構成する。頭部の支持のほか、前後屈・横屈・左右回旋などの運動を可能とする機能を持つ[2]

骨: 頸椎
ヒト頸椎の位置(赤色で示す)。骨は7つあり、上から順に C1, C2, C3, C4, C5, C6, C7と略記される。
第七頸椎 図上が前方。皿のような部分に椎間板(ついかんばん)が乗る。左右の小さな穴(横突孔)には椎骨静脈が通り動脈は通らない[1]、中央の大きな穴には脊髄が走る。図下はいわゆる背骨のように見える棘突起。
名称
日本語 頸椎
英語 cervical vertebrae
ラテン語 vertebrae cervicales
関連構造
上位構造 脊椎
画像
アナトモグラフィー 三次元CG
関連情報
MeSH Cervical+Vertebrae
グレイ解剖学 書籍中の説明(英語)
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両生類の頸椎

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脊椎動物のうち魚類は頸椎を他の脊椎から区別できない[3]。現生の両生類においては第一頸椎のみが唯一の頸椎として扱われている。現生両生類の第一頸椎には突起が存在せず、2つの後頭顆と関節する2つの滑らかな窪みが存在する。これにより、頭蓋は魚類に不可能であった背腹方向への運動をある程度可能とした。なお、最初期の両生類では後頭顆と窪みはそれぞれ1つのみであったとされる[4]

有羊膜類の頸椎

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有羊膜類では、頸椎は胸郭の形成に参加しない点で胸椎あるいは胴椎から区別される[3]。有羊膜類の頸椎は両生類よりも数が多く、柔軟性が高い。また第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)が獲得されたのもこの有羊膜類の段階である。環椎は椎体が欠損するため環状構造を示し、頭側に1つあるいは2つの深い上関節窩を持ち、爬虫類では1つ、哺乳類では2つの後頭顆と関節する。この機能は両生類に見られるものと同様である[4]ヘビ以外の有羊膜類では、環椎の椎体は軸椎の歯突起となる。歯突起は前側に突出して環椎を貫通し、頭部と環椎の回転軸として機能する[4]

鳥類恐竜の多くは、曲竜類ケラトプス科を除き、鳥類と同様にS字型に湾曲した頸部を持つ。長い頸部を持つ竜脚類は頸椎数が多く、恐竜の中でも柔軟性が高かったと見られるが、現生鳥類ほど高い可動性を持つ適応は示さなかった[5]

鳥類の頸椎は哺乳類と比べて多く、例えばハトは12個、ニワトリアヒルフクロウは14個、ガチョウは17個、ハクチョウは25個の頸椎を持つ[6]フクロウは頭を最大で左右に270度回旋できる。

大多数の哺乳類の頸椎は7つの骨で構成されている(ヒトキリン[7]クジラなど)[4]。ただし例外は、マナティーオオアリクイは6個、ナマケモノは6〜9個の頸椎を持つ。

哺乳類第三頸椎から第七頸椎までは似た形をしているが下にある椎体ほど大きく[8]、特に第七頸椎は長く大きな棘突起を持ち[1]、体表から容易に観察したり触れることができるため隆椎とも呼ばれる。頸椎の中で最も運動が起こりやすいのは第一頸椎と第二頸椎の間であり、これを環軸関節と呼ぶ。

画像

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脚注

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  1. ^ a b 森ら, p.32
  2. ^ 鈴木泰子『ぜんぶわかる 骨の名前としくみ辞典』山田敬喜、肥田岳彦監修、成美堂出版、2015年7月20日、104-105頁。ISBN 978-4-415-31001-5 
  3. ^ a b 犬塚則久「脊柱と椎骨の形態学」『脊髄外科』第28巻第3号、2014年、239-245頁、doi:10.2531/spinalsurg.28.239  
  4. ^ a b c d George C. Kent、Robert K. Carr 著、谷口和之、福田勝洋 訳『ケント 脊椎動物の比較解剖学』緑書房、2015年、155-157頁。ISBN 978-4-89531-245-5 
  5. ^ グレゴリー・ポール 著、東洋一、今井拓哉、河部壮一郎、柴田正輝、関谷透、服部創紀 訳『グレゴリー・ポール恐竜事典 原著第2版』共立出版、2020年8月30日、24頁。ISBN 978-4-320-04738-9 
  6. ^ ホルスト・エーリッヒ・クーニッヒ、ハンス=ゲオルグ・リービッヒ 著、カラーアトラス獣医解剖学編集委員会 訳『カラーアトラス獣医解剖学 増補改訂版(第2版)下巻』緑書房、2016年、860頁。ISBN 978-4-89531-252-3 
  7. ^ キリンの第一胸椎は第八頸椎に相当する働きを持ち、首の柔軟性に寄与する。
  8. ^ 森ら, p.29

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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  • 頸椎 - 慶應医学部解剖学教室 船戸和弥