蛇笏賞
蛇笏賞(だこつしょう)は、俳人・飯田蛇笏にちなんで設けられた俳句の賞。前年1月から12月に刊行された句集の中で最も優れたものに与えられる。俳句界では最も権威ある賞とされている。主催は角川文化振興財団(第9回までは角川書店)で、1967年に第1回が行われた。受賞作には賞状、記念品および副賞100万円が贈られる。授賞式は毎年6月、短歌賞である迢空賞とあわせて行われる。現選考委員(2024年時点)は、高野ムツオ、高橋睦郎、中村和弘、正木ゆう子の4名。候補作は従来非公表であったが、2013年の第47回より最終候補作が事前に公表されるようになった。
受賞一覧
編集- 第1回(1967年)- 皆吉爽雨 『三露』他
- 第2回(1968年)- 加藤楸邨 『まぼろしの鹿』他、秋元不死男 『万座』他
- 第3回(1969年)- 大野林火 『潺潺集』他
- 第4回(1970年)- 福田蓼汀 『秋風挽歌』他
- 第5回(1971年)- 平畑静塔 『壺国』他、右城暮石 『上下』他
- 第6回(1972年)- 安住敦 『午前午後』他
- 第7回(1973年)- 阿波野青畝 『甲子園』他、松村蒼石 『雪』他
- 第8回(1974年)- 百合山羽公 『寒雁』他
- 第9回(1975年)- 石川桂郎 『高蘆』以後の作品
- 第10回(1976年)- 相生垣瓜人 『明治草』他
- 第11回(1977年)- 山口草堂 『四季蕭嘯』
- 第12回(1978年)- 阿部みどり女 『月下美人』
- 第13回(1979年)- 細見綾子 『曼荼羅』
- 第14回(1980年)- 斎藤玄 『雁道』
- 第15回(1981年)- 石原舟月 『雨情』
- 第16回(1982年)- 瀧春一 『花石榴』
- 第17回(1983年)- 柴田白葉女 『月の笛』、村越化石 『端座』
- 第18回(1984年)- 橋閒石 『和栲』
- 第19回(1985年)- 能村登四郎 『天上華』
- 第20回(1986年)- 長谷川双魚 『ひとつとや』
- 第21回(1987年)- 森澄雄 『四遠』
- 第22回(1988年)- (該当作なし)
- 第23回(1989年)- 三橋敏雄 『畳の上』
- 第24回(1990年)- 角川春樹 『花咲爺』
- 第25回(1991年)-(該当作なし)
- 第26回(1992年)- 桂信子 『樹影』
- 第27回(1993年)- 佐藤鬼房 『瀬頭』
- 第28回(1994年)- 中村苑子 『吟遊』
- 第29回(1995年)- 鈴木六林男 『雨の時代』
- 第30回(1996年)- 沢木欣一 『白鳥』
- 第31回(1997年)- 飯島晴子 『儚々』
- 第32回(1998年)- 成田千空 『白光』
- 第33回(1999年)- 鈴木真砂女 『紫木蓮』
- 第34回(2000年)- 津田清子 『無方』
- 第35回(2001年)- 宇多喜代子 『象』
- 第36回(2002年)- 金子兜太 『東国抄』
- 第37回(2003年)- 草間時彦 『瀧の音』
- 第38回(2004年)- 福田甲子雄 『草虱』
- 第39回(2005年)- 鷲谷七菜子 『晨鐘』
- 第40回(2006年)- 後藤比奈夫 『めんない千鳥』
- 第41回(2007年)- 岡本眸 『午後の椅子』
- 第42回(2008年)- 鷹羽狩行 『十五峯』
- 第43回(2009年)- 廣瀬直人 『風の空』
- 第44回(2010年)- 真鍋呉夫 『月魄』
- 第45回(2011年)- 黒田杏子 『日光月光』
- 第46回(2012年)- 渋谷道 『澁谷道俳句集成』
- 第47回(2013年)- 文挟夫佐恵 『白駒』
- 第48回(2014年)- 高野ムツオ 『萬の翅』、深見けん二 『菫濃く』
- 第49回(2015年)- 大峯あきら 『短夜』
- 第50回(2016年)- 矢島渚男『冬青集』
- 第51回(2017年)- 高橋睦郎『十年』、正木ゆう子『羽羽』
- 最終候補作:茨木和生『熊樫』、黛執『春の村』、宮坂静生『噴井』
- 第52回(2018年)- 有馬朗人『黙示』、友岡子郷『海の音』
- 第53回(2019年)- 大牧広『朝の森』[1]
- 第54回(2020年)- 柿本多映『柿本多映俳句集成』[2]
- 第55回(2021年) - 大石悦子『百囀』[3]
- 第56回(2022年) - (該当作なし)
- 第57回(2023年) - 小川軽舟『無辺』
- 第58回(2024年) - 小澤實『澤』
歴代選考委員
編集- 1967年 - 1975年 角川源義
- 1977年 - 1984年 飯田龍太、沢木欣一、野沢節子、森澄雄
- 1985年 - 1989年 飯田龍太、金子兜太、細見綾子、藤田湘子
- 1990年 - 2001年 飯田龍太、金子兜太、細見綾子、森澄雄
- 2002年 - 2004年 飯田龍太、成田千空、宇多喜代子、藤田湘子
- 2005年 - 2005年 成田千空、宇多喜代子、鷹羽狩行、福田甲子雄
- 2006年 - 2007年 成田千空、宇多喜代子、鷹羽狩行、有馬朗人
- 2008年 - 2010年 宇多喜代子、有馬朗人、大峯あきら、金子兜太
- 2011年 - 2012年 宇多喜代子、有馬朗人、金子兜太、片山由美子
- 2013年 - 2014年 宇多喜代子、金子兜太、片山由美子、長谷川櫂
- 2015年 - 2017年 宇多喜代子、片山由美子、齋藤愼爾、長谷川櫂
- 2018年 - 2018年 片山由美子、齋藤愼爾、高野ムツオ、長谷川櫂
- 2019年 - 2021年 片山由美子、高野ムツオ、高橋睦郎、長谷川櫂
- 2022年 - 現在 高野ムツオ、高橋睦郎、中村和弘、正木ゆう子
参考文献
編集- 日外アソシエーツ 『最新文学賞事典』 各年度版
脚注
編集- ^ “【決定のお知らせ】第53回蛇笏賞”. www.kadokawa-zaidan.or.jp. 角川文化振興財団 (2019年3月29日). 2019年3月30日閲覧。
- ^ “【第54回蛇笏賞】柿本多映さん句集『柿本多映俳句集成』が受賞”. 本のページ (2020年4月18日). 2020年4月21日閲覧。
- ^ “蛇笏賞・迢空賞|顕彰事業 | 公益財団法人 角川文化振興財団”. 公益財団法人 角川文化振興財団. 2021年4月23日閲覧。