臭化ベンジル(しゅうかベンジル、benzyl bromide)は、有機合成で用いられる芳香族化合物の一種。トルエンメチル基の水素をひとつを臭素に置き換えた構造を持ち、α-ブロモトルエンブロモメチルベンゼンと呼ぶこともできる。

臭化ベンジル[1]
識別情報
CAS登録番号 100-39-0 チェック
PubChem 7498
ChemSpider 13851576 チェック
UNII XR75BS721D ×
ChEBI
ChEMBL CHEMBL1085946 チェック
6294
特性
化学式 C7H7Br
モル質量 171.03 g mol−1
外観 無色の液体
匂い 不快臭、刺激臭
密度 1.438 g/cm3
融点

-3.9℃

沸点

201℃

溶解度 有機溶媒
log POW 2.92[2]
屈折率 (nD) 1.5752
危険性
GHSピクトグラム 急性毒性(低毒性)
引火点 70 °C (158 °F; 343 K)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

臭化ベンジルは強い催涙性と不快な刺激臭を持つため[3]、使用する際は確実な排気のもとに取り扱わなければならない。目の粘膜や皮膚を刺激する。

合成

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トルエンのラジカル的な臭素化により合成される(下式)。この反応は紫外光の照射によりラジカル機構が促進される。また、臭素のかわりにN-ブロモスクシンイミドを臭素化剤とすることもでき、その手法はウォール・チーグラー反応と呼ばれる。

 

反応、用途

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臭化ベンジルは、有機合成において、アルコールカルボン酸の OH 基の水素をベンジル基で置き換えるために用いられる。下式の反応はウィリアムソン合成の一形式にあたる。

ROH + C6H5CH2Br + R'3N → ROCH2C6H5 + R'3N•HBr
RCOOH + C6H5CH2Br + R'3N → RCOOCH2C6H5 + R'3N•HBr

前者は、アルコールやフェノール類をベンジル基により保護(ベンジル保護)する場合の一手法である。ベンジル基は水素添加、もしくは強いルイス酸により脱保護される。

出典

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  1. ^ Merck Index (11th ed.). p. 1142 
  2. ^ Benzyl bromide_msds”. 2024年10月15日閲覧。
  3. ^ ChemicalBook

関連化合物

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