脆化
脆化(ぜいか、英語:embrittlement)とは、金属やプラスチックなどが展延性や靱性を失い[1]、脆(もろ)く壊れやすくなること。物理的、化学的要因によるさまざまな脆化現象が知られている。
各種の脆化現象
編集- 水素脆化 - 鋼材中に吸収された水素により鋼材の強度が低下する現象。
- 照射脆化 - 運転中の原子力発電所において、中性子の照射により原子炉圧力容器の鋼材に微細な組織変化が生じ、容器鋼材が脆くなる現象[2]。中性子照射脆化ともよばれる。高経年化した原子炉では、脆くなる限界の温度(脆性遷移温度、fracture appearance transition temperature ; FATT)が上昇、緊急冷却で急激に温度を下げた場合、圧力容器が壊れる可能性があることが懸念されている[3]。
- 硫化水素の吸収による脆化
- 液体金属による脆化(en:Liquid metal embrittlement) - 液体ガリウムなど。
- 低温脆化 - プラスチック、ゴム、金属で生じる。
- 紫外線による脆化 - 高分子化合物が紫外線の照射を受け、分子レベルで変性することで生じる[4][5][6][7][8][9][10][11]。
- 繊維や衣類における脆化 - 染料、漂白剤、温度変化等により脆化が生じることがある[12]。
- 高温や酸化によるアスファルトの脆化
脚注
編集- ^ 脆化 大辞林 Yahoo!辞書
- ^ 経済産業省 原子力安全・保安院 高経年化対策強化基盤整備事業照射脆化
- ^ 玄海原発1号機 想定以上に劣化進行か 佐賀新聞、2011年7月1日
- ^ 通信ケーブルの紫外線の影響について(pdf) - 富士電線(2011年12月閲覧)
- ^ カーテンFAQ - 東リ株式会社(2011年12月閲覧)
- ^ 絹繊維の紫外線脆化に関する二三の 要因(pdf) - 信州大学繊維学部(2011年12月閲覧)
- ^ 合成樹脂材料の劣化(pdf) - 空気調和・衛生工学会(2011年12月閲覧)
- ^ プラスチックの実用強さと耐久性(pdf) - 三菱化学グループ(2011年12月閲覧)
- ^ 素材としての塩ビ樹脂について - 石井マーク(2011年12月閲覧)
- ^ 被覆材リサイクル電線・ケーブルの開発(pdf) - 古河電工(2011年12月閲覧)
- ^ レースカーテンの日光による脆化 - 日本石鹸洗剤工業会(2011年12月閲覧)
- ^ 脆化 Yahoo!百科事典