吉岡定点
吉岡定点(よしおかていてん)[2][注 1]は、北海道松前郡福島町館崎(たてさき)にある北海道旅客鉄道(JR北海道)北海道新幹線・海峡線青函トンネル内に設置された保守・避難施設である。
吉岡海底駅 | |
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ホーム(2005年6月) | |
よしおかかいてい Yoshioka-kaitei | |
◄竜飛海底 (23.0 km) (20.5 km) 知内► | |
所在地 | 北海道松前郡福島町館崎[1] |
所属事業者 | 北海道旅客鉄道(JR北海道) |
所属路線 | 海峡線 |
キロ程 | 55.5 km(中小国起点) |
電報略号 | ヨイ |
駅構造 | 地下駅 |
ホーム | 2面2線[1] |
乗車人員 -統計年度- |
0人/日(降車客含まず) -2012年- |
乗降人員 -統計年度- |
0人/日 -2012年- |
開業年月日 | 1988年(昭和63年)3月13日[1] |
廃止年月日 | 2014年(平成26年)3月15日* |
概要
編集青函トンネル非常時の旅客避難所および保線基地、トンネルの維持に必要な各種機械類の設置を目的とした「定点」として、北海道側の海底部(海面下149.5m)に設置された。
1988年(昭和63年)3月13日の海峡線(津軽海峡線)開業当初は吉岡海底駅(よしおかかいていえき)として、青森県側の竜飛海底駅(竜飛定点)とともに、海底駅見学整理券を持った見学者のみが利用できる駅として旅客営業も行われた[3]。これは廃止されるまで、世界一低い位置にある鉄道駅であり[4][注 2]、また北海道内最南端の駅でもあった[注 3]。
旅客営業は北海道新幹線工事着工に伴い当駅を資材基地として使用するため、2006年(平成18年)3月18日のダイヤ改正をもってイベント開催時の臨時列車のみの停車となり[5]、同年8月27日の臨時特急「ドラえもん海底列車」運行終了によって、吉岡海底駅見学コースも全面休止された[6]。以降一部のイベントでの停車を除いて休止駅となっていたが[注 4]、2014年(平成26年)3月15日のダイヤ改正をもって正式に廃止され[7][8][9]、その後は純粋な保守・避難施設として運用されている[10]。
歴史
編集- 1988年(昭和63年)3月13日:北海道旅客鉄道(JR北海道)海峡線(津軽海峡線)の開業に伴い、吉岡海底駅(よしおかかいていえき)として開業[1]。
- 1998年(平成10年)3月:津軽海峡線開業10年を記念してアニメ『ドラえもん』とのタイアップ企画を実施し、駅構内に同作品の展示スペース「ドラえもん海底ワールド」を設置(後述)。イベントは2006年まで継続。期間中は快速「海峡」を「ドラえもん海底列車」として運行。
- 2002年(平成14年)12月1日:東北新幹線の盛岡駅 - 八戸駅間開業に伴うダイヤ改正を実施。快速「海峡」が廃止され、津軽海峡線の普通列車が消滅したことに伴い、特急「白鳥」・「スーパー白鳥」(「はつかり」から改称)のみの停車となる[11]。
- 2003年(平成15年)7月19日:快速「海峡」に代わる「ドラえもん海底ワールド」アクセス列車として、当駅発着の臨時特急「ドラえもん海底列車」が運行開始[12]。
- 2006年(平成18年)
- 2009年(平成21年)11月7日:JR北海道函館支社のツアーで列車が臨時停車[13]。
- 2012年(平成24年)
- 2013年(平成25年)3月23日:同支社のツアーで列車が臨時停車[16]。これが最後の停車となった。
- 2014年(平成26年)3月15日:吉岡海底駅が廃止[9]。
- 2016年(平成28年)
名称の由来
編集駅構造
編集相対式ホーム2面2線を持つ地下駅であり[1]、待避線などは設置されておらず、列車の待避などはできなかった。
本線に設置されていたプラットホームは在来線規格で、幅は84cmと非常に狭いものだった[注 5]。これは、避難用に新幹線規格の状態で設置された従来のホームと在来線列車との間には隙間があり、在来線列車とホームの間で転落する危険があるとの判断から、海底駅見学開始時に運輸省からの指導によってその隙間を埋めるために設置されたものであった[注 6]。駅の廃止後は新幹線車両の通過に支障するため、切り詰められた。[21]
-
吉岡海底駅の駅名標(2002年7月16日)
駅周辺
編集- 横取基地
- 保守用車の待避・留置場所および資材の搬入口として造られた。
- 避難所
- 列車火災や停電などの際に旅客が一時的に避難する場所として設置され、約1,000人を収容可能である。300人が座れるベンチのほか、簡易トイレ、世界初となる海底公衆電話が設置されている[注 7]。海底駅だった頃には、見学者向けに青函トンネルの概要や建設時の様子を伝えるパネルなどが設置されていた。
- トンネルメモリアルパーク
- 青函トンネルの開通を記念して、福島町吉岡地区[注 8]に建設された小さな公園。記念碑、建設に使用した車両が1両と起工式に用いられた石がある。また、竜飛崎を見渡すことができる[22]。当駅は公園前に広がる海の下にある。
- 公園の裏手にある吉岡小学校[注 9]付近には、当駅へつながる坑道[23]がある。ただし、竜飛定点(道の駅みんまや・青函トンネル記念館)とは異なり体験坑道としての一般公開はされておらず、中に入ることはできない。
- 福島町青函トンネル記念館は福島町中心部にあるため、当公園や駅とは離れている。
ドラえもん海底ワールド
編集1998年(平成10年)3月1日から、藤子・F・不二雄の漫画・アニメ『ドラえもん』とのタイアップ企画が実施された。イベント期間中は、吉岡海底駅に「ドラえもん海底ワールド」と銘打つ同作品の展示スペースが設置され、同駅に停車する快速「海峡」も「ドラえもん海底列車」として運行された。
2002年(平成14年)12月1日以降は快速「海峡」廃止の代替として特急「白鳥」・「スーパー白鳥」が吉岡海底駅に停車したほか、2003年(平成15年)7月19日から781系電車(6両編成)を改造した臨時特急「ドラえもん海底列車」が運行されるようになった[12]。
前述2006年(平成18年)3月18日のダイヤ改正での見学コース中止に伴い[5]、このタイアップ企画も同年8月27日をもって終了し、「ドラえもん海底列車」も同日をもって運行終了となった[6][24]。
- 1998年(平成10年)度:青函トンネル開業10周年記念「ドラえもん海底列車」
- 1999年(平成11年)度:ドラえもん東宝映画化20周年記念「ドラえもんイベント'99」
- 2000年(平成12年)度:ドラえもん連載30周年記念「ドラえもんイベント2000」
- 2001年(平成13年)度:「ドラえもんイベント2001」
- 海底ワールドに、漫画『ドラえもん』の世界を再現したブースを設置。
- 2002年(平成14年)度:「ドラえもんイベント2002」
- 2002年(平成14年)度冬期:「冬のドラえもんイベント」[25]
- 快速「海峡」が2002年11月30日の運行を最後に廃止されたため、代替として特急「白鳥」・「スーパー白鳥」が吉岡海底駅に臨時停車した。
- 2003年(平成15年)度:「ドラえもんイベント2003」[26]
- 快速「海峡」に代わるアクセス列車として、臨時特急「ドラえもん海底列車」(781系・6両編成)運行開始。
- 2004年(平成16年)度:「ドラえもんイベント2004」[27]
- 海底ワールドにはがきを投函できる「海底駅ポスト」が設置された。
- 2005年(平成17年)度:「ドラえもんイベント2005」[28][29]
- 番組リニューアルに伴い、キャラクターの声優が交代。
- 2006年(平成18年)度:「ドラえもんイベント2006」[30][6]
隣の施設
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 2014年3月15日以降、特急「スーパー白鳥」に使用されている789系電車・785系電車の案内表示でも、この名称が使用されている。
- ^ 現在最も低い位置にある駅は、青函トンネル竜飛斜坑線の体験坑道駅である。
- ^ 廃止後は江差線渡島鶴岡駅が道内最南端の駅となったが、2014年(平成26年)5月12日に渡島鶴岡駅を含む江差線の木古内駅 - 江差駅間が廃止されたため、現在は木古内駅が道内最南端の駅となっている。
- ^ 臨時駅の扱いとなっており、時刻表には「(臨)」と標記されていた。
- ^ ホームに人が留まっていると危険であるため、見学者の乗降は先進導坑、作業坑への通路に面する扉のみで行われていた。
- ^ 将来的な撤去を前提にしていた事から、設置は簡易的なものであった。
- ^ 工事用に敷設していた電話回線を利用して、NTTが世界で初めて設置した海底公衆電話である。テレホンカード専用。
- ^ 管理条例によると、住所は福島町館崎332番地の3外。
- ^ 2010年(平成22年)3月までは吉岡中学校。閉校・改修の後、同年7月下旬よりこの校舎に小学校が移転した。
出典
編集- ^ a b c d e 『週刊 JR全駅・全車両基地』 31号 青森駅・弘前駅・深浦駅ほか、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2013年3月17日、24頁。
- ^ a b 『北海道新幹線 冬期対策設備の概要について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2015年1月15日 。2015年1月15日閲覧。
- ^ “杉山淳一の時事日想:「竜飛海底駅」が教えてくれた、新たな“商機””. Business Media 誠 (ITmedia). (2013年11月15日). オリジナルの2013年11月16日時点におけるアーカイブ。 2013年12月20日閲覧。
- ^ 種村直樹『最新鉄道旅行術 きっぷ、のりもの、やど…、旅のプランニングから整理まで』JTB、1997年1月、240頁。ISBN 978-4-533-02640-9。ISBN 4-533-02640-0。
- ^ a b c 『平成18年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2005年12月22日 。2010年7月23日閲覧。
- ^ a b c d 『吉岡海底駅「ドラえもん海底ワールド」は8月27日でファイナルを迎えます!』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2006年6月14日 。2014年6月18日閲覧。
- ^ “青函トンネル海底駅の廃止検討 来春、新幹線工事で”. 47NEWS(共同通信) (全国新聞ネット(共同通信社)). (2013年8月2日). オリジナルの2015年1月28日時点におけるアーカイブ。 2015年1月28日閲覧。
- ^ 『駅の営業終了について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2013年9月13日 。2014年6月18日閲覧。
- ^ a b 『平成26年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2013年12月20日 。2014年6月18日閲覧。
- ^ “吉岡海底など3駅、来春廃止 JR北海道、新幹線工事で”. 北海道新聞(どうしんウェブ) (北海道新聞社). (2013年8月2日). オリジナルの2013年8月16日時点におけるアーカイブ。 2013年8月2日閲覧。
- ^ 『平成14年12月ダイヤ改正について』(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2002年9月20日。オリジナルの2002年10月10日時点におけるアーカイブ 。2014年6月19日閲覧。
- ^ a b 『夏の臨時列車のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2003年5月16日 。2014年9月12日閲覧。
- ^ 『青函ツインシティ提携20周年記念 青函友好!青函トンネルウォーキングツアー 募集を開始いたします!』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道函館支社、2009年9月17日 。2014年6月18日閲覧。
- ^ “青函トンネル吉岡海底見学日帰りツアー”. 鉄道コム. (2012年8月31日) 2015年1月30日閲覧。
- ^ 『急行北海道DC号で行く青函トンネル吉岡海底見学ツアーと道南魅力発見プレミアムツアーの発売について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道函館支社、2012年8月24日 。2014年6月18日閲覧。
- ^ “青函トンネルが開業25周年を迎えます!”. 北海道旅客鉄道函館支社 スタッフ日記 (2013年2月8日). 2015年1月30日閲覧。
- ^ 『青函トンネル 旧竜飛海底駅(竜飛定点)および旧吉岡海底駅(吉岡定点)における携帯電話サービスの提供開始について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2016年2月12日。オリジナルの2016年2月13日時点におけるアーカイブ 。2016年2月13日閲覧。
- ^ 『青函トンネル 旧竜飛海底駅(竜飛定点)および旧吉岡海底駅(吉岡定点)における携帯電話サービスの提供開始について』(プレスリリース)NTTドコモ、2016年2月12日。オリジナルの2016年2月13日時点におけるアーカイブ 。2016年2月13日閲覧。
- ^ “JR貨物 整備新幹線小委員会ヒアリング資料” (PDF). 国土交通省 (2012年2月27日). 2013年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月2日閲覧。
- ^ “開業に向けた取り組み(北海道新幹線スペシャルサイト)”. 北海道旅客鉄道. 2016年1月2日閲覧。
- ^ (日本語) 青函トンネルに潜入!〈前編〉【JR北海道】 2024年4月23日閲覧。
- ^ “横綱の里・福島町”. みちのく旅日記. 2011年7月31日閲覧。
- ^ “青函トンネルメモリアルパーク”. がんばれ北海道. 2011年7月31日閲覧。
- ^ “ドラえもん海底列車 今月でお別れ JR北海道”. 産経新聞(ENAK) (産業経済新聞社). (2006年8月2日). オリジナルの2011年5月22日時点におけるアーカイブ。 2015年1月30日閲覧。
- ^ 『「ドラえもん海底ワールド」実施』(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2002年9月20日 。2014年9月12日閲覧。
- ^ 『平成15年度「ドラえもんイベント」の実施について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2003年6月25日 。2014年9月12日閲覧。
- ^ 『平成16年度「ドラえもんイベント」の開催について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2004年2月25日 。2014年9月12日閲覧。
- ^ 『青函トンネル吉岡海底駅「ドラえもん海底ワールド」は3月26日から開催』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2005年3月15日 。2014年9月12日閲覧。
- ^ 『青函トンネル吉岡海底駅「ドラえもん海底ワールド」は冬休みも開催!!』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2005年11月25日 。2014年9月12日閲覧。
- ^ 『3月25日スタート!青函トンネル吉岡海底駅「ドラえもん海底ワールド」』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2006年3月3日 。2014年9月12日閲覧。
関連項目
編集- 青函トンネル
- 竜飛定点 - 旧・竜飛海底駅
- ドラえもん海底列車
- 登戸駅 - 同じく『ドラえもん』とのタイアップ企画を実施している
- 吉岡駅 (曖昧さ回避)
- 日本の鉄道駅一覧
- 鉄道に関する日本一の一覧
- 日本の都道府県の東西南北端の駅の一覧