『P2102V』のデザインや性能のポイントについて、パナソニック モバイルコミュニケーションズ(株)、FOMAチーム主事の横尾景氏、商品開発第二グループ技師の天池正治氏、同じくチームリーダーの田中靖也氏に伺った。
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左から、FOMAチーム主事の横尾景氏、商品開発第二グループ技師の天池正治氏、同チームリーダーの田中靖也氏 |
[編集部]
『P2102V』は発売初日に品切れになったショップが多いようですが、どこが評価されたと考えていますか。
[パナソニック]
やはり、従来の携帯電話にないスタイルではないでしょうか。また現在、FOMAは価格の優遇施策が設けられていますので、お求めやすかったこともあるでしょう。並んで購入されたお客様もいらっしゃるとうかがい、大変ありがたく思っています。
[編集部]
『P2102V』の購入層を教えてください。
[パナソニック]
ショップの様子を見ていた限りでは、20~30代の男性の割合が高いようです。カラーは一番人気がシルバーで、次はレッドだそうです。FOMAは、パケット通信のヘビーユーザーを対象にした“パケットパック”がありますが、パソコンに『P2102V』を繋いでパケット通信に使うようなユーザーが以前と比べて確かに増えているようですね。
[編集部]
前機種『P2101V』からの改善点などあれば、教えてください。
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リチウムイオンバッテリーパック(800mA) |
[パナソニック]
『P2101V』は、ドコモ初のテレビ電話でしたが、大きさ、バッテリーの持ち時間などに課題がありました。特に厚みが35mmあったのですが、純粋に携帯電話として見ると、ちょっと大きすぎるというご指摘をいただいておりました。
そこで『P2102V』は、まず携帯電話として魅力ある製品にしました。リチウムイオンバッテリーパック(800mA)は新規セルをおこして、厚さ25mmの筐体に収まるようにしました。バッテリーの持ちも、例えば連続待受時間を比較すると、『P2101V』は約55時間でしたが、『P2102V』は約180時間(移動時)に伸びました。
[編集部]
なぜ、液晶ディスプレーが回転するスタイルを採用したのでしょうか。
[パナソニック]
回転する液晶ディスプレーは、動画撮影と再生の際の利便性を考えた結果です。“ムービースタイル”の形は、ビデオカメラで既に認知されていますし、ターゲットに焦点をあわせやすく、目で見た感じそのままを撮影することができるというメリットがあります。
それと動画の再生は、縦長の画面よりも横長の画面のほうが迫力があると思うんですよ。仮に、従来機のスタイルで液晶ディスプレーを横長に使おうと思ったら、筐体自体を横に倒さなければなりませんから、なんだかしっくりきませんよね。やはり、“ムービースタイル”の形が自然でよいと思います。
[編集部]
「ヒンジ部分がすぐに壊れるのでは?」と、心配するユーザーもいると思いますが、いかがでしょうか?
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『P2102V』のヒンジ部 |
[パナソニック]
液晶ディスプレーが回転する携帯電話は国内初なので、そういった心配をされるのは無理のないことだと思います。そこで、安心してお使いいただけるよう、液晶の回転部分は特に入念に、強度を持たせて作りました。耐衝撃性の検査では、PDCと同じ検査をクリアしています。
[編集部]
QVGAサイズ(320×240ピクセル)の液晶を搭載した携帯電話が発売されていますが、これを採用しなかった理由を教えてください。
[パナソニック]
ドコモのテレビ電話は、国際標準の3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化された、次世代テレビ電話の規格『3G-324M』に準拠しています。弊社は、これを広めていくために、一番特性の出せる形で製品を作っています。
『3G-324M』は176×144ピクセルの画像サイズをサポートしていますから、もし端末の液晶がQVGAサイズであれば、テレビ電話の画像が非常に小さくなってしまう。端末側に画像を拡大する機能を持たせることも可能ですが、そうすると画像にアラが目立ってしまう。このようなことから、『P2102V』には適当でないと判断しました。
[編集部]
皆さんはFOMA専任の開発部隊とのことですが、最後に今後の展開について教えてください。
[パナソニック]
FOMAの魅力や可能性を広げて、たくさんの方に使っていただけるように、新しい提案をつづけていきたいと思っています。どうぞご期待ください。