“未曾有(みぞう)の不景気”が日々見出しを踊る昨今でも、環境対策やエコのキーワードは、依然として企業活動の至上命題のひとつに挙げられる。そんな環境対策のヒントになりそうなイベントが、2月5日と6日、東芝本社ビルで開催された。
「東芝環境展」は東芝社内およびグループ各社の環境に対するさまざまな取り組み方を製品や活動を紹介するイベントだが、単なる「企業のエコ活動」をアピールするだけではなく、すぐにでも真似できそうなプロジェクトやアプローチを見ることができた。
LED電球ならCO2排出量が1/6に低減
東芝の環境へのアプローチは「環境ビジョン2050」。つまり“人類の活動による環境負荷を1/2にする”(ファクター10)という考え方であるが、さすがに世界中に拠点を持って家電から原子炉まで幅広い製品を出し、グループ内での物流機構も持つ東芝だけに、取り組み方も実に多岐にわたる。各地工場のローエミッション化や、家電リサイクル技術、各種電気や電子デバイスの高効率化など多種多様だ。
東芝ならでは、と思える原子力発電プラント。展示している1/1縮尺の模型は原子炉の底部で、溶接部を高出力レーザーで照射することプラズマを発生させ、溶接強度を飛躍的に高めるという同社独自のレーザービーニング技術。稼働率・安全率を高めるもので、もちろんCO2削減効果なども計算されている
例えば身近なところでは、東芝ライテックが発表したばかりの白熱電球型LEDランプ「E-CORE LED電球」の利用。40W型で既存の白熱電球とそのまま置き換えられる。同じく電球型蛍光灯「ネオボール」も展示していたが、ネオボールが1個1000~2000円程度で販売されているのに対してLEDランプは1万500円とまだまだ割高だ。とはいえ白熱電球からの移行が進むにつれて、電球型蛍光灯の価格も劇的に下がったことを考えれば、近い将来はLED電球の活躍の場も広がることが期待される。
製品からのアプローチはLED照明以外にも、ヒートポンプ採用洗濯機やエアコンなど最新型エコ家電が展示されているが、中でも今後の普及が見込まれるものとしてはホームユースのITシステム「FEMINITY」(フェミニティ)が目立つ存在だった。
各種家電を集中コントロールして、PCや携帯電話で外からでも稼働状況の確認やON/OFF制御が行なえる。対応機器についても東芝単独ではなく、「ECHONET」(エコーネット)と呼ばれる家電業界の統一規格が確立しつつある。
家電だけでなく、オフィスに応用されれば、全社員が帰宅したあとに消し忘れていた電灯やプリンター、サーバー以外のPCなどを総務担当者が自宅から確認して、一斉に消灯するといったことも可能になる。無駄な電力消費をなくすことは、エコだけでなく経費削減にもつながるため、すぐにでも導入したい企業は多いはず。
(次ページ、「省CO2だけがファクター10達成への道じゃない」に続く)