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前回までの連載では、SEが文書上達するための初級編として論理や文法の大切さについて説明しました。今回は中級レベルへの足がかりとして「語彙」について解説したいと思います。まず、職場で起きたリーダーと新入社員の会話の例を紹介します。リーダーと新入社員は、ともに語彙数が少なかったためにすれ違いが起きてしまいました。
語彙──言葉が違えば意味も違う
新入社員が業務終了後、作業日報をリーダーに提出しました。そこには「……は調査が必要だと思いました」と書いてあります。リーダーは「業務文章には『思う』は使わず『考える』を使うものだと教えます。すると、その新入社員が「『思う』と『考える』とはどう違うのですか?」と質問しました。リーダーは予想外のことに困り、結局その違いが分かりません。困惑するリーダーの姿を見て、新入社員は「もう結構です」と帰ってしまいました。
これではリーダーとして形無しですね。自分が先輩に教えられたとおりにただ新入社員を指導しようとしてしまったことからこの問題は起きています。意味が似ていても微妙な意味の違いがあることを理解していなかったのです。
分かりやすい文章を書くためには、平易な表現を心がける必要があります。ところが“平易”という意味を“簡単”なことと勘違いしている人がいるようです。このような人は語彙数を増やす努力ができません。ここに大きな落とし穴があります。その言葉が平易であることを認識できるためには、その反対である平易でない言葉も理解しておく必要があるのです。そのために豊富な語彙が求められます。SEであるならばIT用語を除く語彙数として5万語は欲しいところですが、近年特に若いSEは語彙数に乏しいという話を聞いています。
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