「オペレーショナルBI」という言葉をご存知だろうか。社内のさまざまなデータを集約・分析するBI(ビジネス・インテリジェンス)は、売上分析や業績管理などに使う一部の経営者層やアナリストのためのもの、というイメージが強かった。これを現場レベルのオペレーションに活用していこうという考え方が、オペレーショナルBIである。
このオペレーショナルBIのコンセプトを3年前から打ち出しているのが、米インフォメーション・ビルダーズのBIスイート「WebFOCUS」(日本での販売元はアシスト)だ。今回は、来日した同社プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのケビン・クイン氏に、オペレーショナルBI実現のポイントとWebFOCUSの強みを聞いた。
米インフォメーション・ビルダーズ プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのケビン・クイン氏
オペレーショナルBIは「プロセスフォーカスのBI」
「現場のためのBI」といわれるオペレーショナルBI。そもそも、インフォメーション・ビルダーズが考えるオペレーショナルBIとは何だろうか。この問いに対して同社プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのケビン・クイン氏は次のように答える。「業務プロセスにフォーカスしたのが、オペレーショナルBIだ。“プロセスの中にBIを組み込むこと”に着目している」
クイン氏の言葉を補うには、実際の企業の事例を見ると分かりやすい。代表的なオペレーショナルBIの活用例として、エア・カナダの事例を同氏は挙げる。
カナダを代表する航空会社であるエア・カナダは、WebFOCUSの導入以前、航空機のメンテナンス作業で問題を抱えていた。同社では、機材のメンテナンス状況をデータベース(DB)に入力・蓄積し、BIを使って定期的にレポーティングを行なっていた。レポートをもとに修理部品の調達などの指示を出していた同社の問題は、修理完了までに数週間の時間が必要だったことだ。複数のデータベースのデータをいったんデータウェアハウス(DWH)に蓄積する従来型のBIでは、「ある時点でレポートを見ても、すでにそのときにはデータが古くなってしまっている」(クイン氏)からである。
エア・カナダでは、メンテナンス、部品管理、フライトスケジュールの3つのDBが使われている。WebFOCUSの導入で、これら3つのDBからリアルタイムにレポートを出すことで、「問題発見から部品の交換までの時間を短縮できるようになった」(クイン氏)。さらに現在では第2フェイズとして、必要な部品の在庫確認から発注、配送手配までのプロセスの自動化も実現しているという。