誕生してからすでに約200年も経つ腕時計には、現在時刻の表示方式にもいくつかの表現型が存在する。一般的には、伝統的な時針を用いるアナログ方式や、数字や記号そのモノ、アイコンなどで表現するデジタル方式、音声で時刻を読み上げてくれる発声方式などだ。
また、暗闇でも時刻の視認性を向上させるために、畜光式やガスでインデックスや針が発光するもの、バックライト式で暗闇でも時刻の確認できるものなどさまざまだ。そんな多様なユーザーインターフェースを持つ腕時計の中でも画期的な触読式腕時計が登場した。
目の不自由な人のための触読式腕時計といえば、通常のアナログ腕時計の風防を開閉式に変更し、長短の針を実際に指先で触れて現在時刻を知る仕組みが一般的だった。
実際に指先で触れるために、針やそれを支えるメカニズムに一定度のストレスがかかってしまう。また風防の開閉による針が露出する構造のため、防水機能のない腕時計であった。
タフな触読式腕時計を目指した
ブラッドレイ腕時計
「ブラッドレィタイムピース」(以降:ブラッドレイ腕時計)はこれらの問題を解決した画期的な触読式腕時計なのだ。多くの視覚に障害のある方へのヒアリングを重ね、キックスターターで多額の初期費用を獲得し、約2年の開発期間で完成した腕時計だ。
そして、アフガニスタンで爆弾処理部隊として在役中に爆発事故に遭い、視力を失いながらも、翌年のロンドンパラリンピックで2つの金メダルと1つの銀メダルを取ったBRADLEY SNYDER氏へのリスペクトからブラッドレイ腕時計と名付けられた。そしてブラッドレイ腕時計のパッケージトップ面や取説にも多くの点字が採用されている。
プロジェクトスタートのきっかけは、従来にない“タフな触読式腕時計”の開発であった。そして、ブラッドレイ腕時計を開発したEONE(Everyoneの意味)のブランド哲学である「WE BELIEVE THAT GOOD DESIGN IS NOT EXCLUSIVE BUT INCLUSIVE」(優れたデザインは、限定された誰かのためのものではなく、すべての方のためのものだ)という概念に基づき、ブラッドレィ腕時計は健常者も含め広くマーケティングされることとなった。
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