”プライバシースマートフォン”を歌う「Blackphone」が出荷を開始した。PGPなど暗号化技術で知られるPhil Zimmermann氏が共同創業した米Silent Circleと、スペインのGeeksphoneが手がけるAndroidベースのスマートフォンで、ローンチの場となったMWCで注目を集めた製品だ。629ドルと決して安くはないが、最初の事前予約は売り切れとなった。
Androidベースでセキュリティー機能を強化した
独自OSを搭載している
6月30日、Blackphoneを開発するSGP Technologiesが出荷開始を発表した。SGP Technologiesは、暗号化技術のSilent Circle、新興スマートフォンメーカーGeeksphoneがBlackphoneの製造・販売のために立ち上げたジョイントベンチャーで、スイスに本拠地を構える。
MWC会場で撮影した「Blackphone」
Blackphoneはプライバシーへの配慮を最大の特徴とするスマートフォンで、MIT Techology Reviewでは2014年の「10 Breakthrough Technologies(ブレークスルー技術トップ10)」に選ばれるなど、メディアを中心に話題となった。その一因として、Edward Snowden氏が明かした米政府の監視活動があるが、2社によるとSnowden氏の告発の前となる2年前から進めてきたプロジェクトだという。
技術的には、Android(KitKat)を土台にSilent Circleのプライバシー技術を統合した「PrivatOS」を土台とする。動画を含む通話とテキストメッセージを暗号化するSilent Circleの「Silent Phone」「Silent Text」、WiFiホットスポットが無線通信履歴などを取得するのを防ぐ「Kismet Smarter WiFi Manager」などのアプリを搭載する。
Silent PhoneとSilent Textは有料アプリで、2年分のサブスクリプションをバンドルする。なお利用には、相手もアプリをインストールしている必要があり、3人分のサブスクリプションがつく。
このほか、ユーザーのIPアドレス、ブラウザクッキー、個人情報などを隠して匿名でモバイルブラウジングができる「Disconnect Search」をデフォルトの検索プロバイダーとし、Wi-Fiや3G/LTEなどセルラーネットワークを利用した盗聴を防ぐDisconnectのVPN「Secure Wireless」も含む。オンラインクラウドは、SpiderOakと提携し、同社の暗号化クラウドサービスをバンドルした。
ハードウェア側のスペックは、4.7型のHD IPS画面、8メガピクセル(メイン)/5メガピクセル(サブ)のカメラを持ち、プロセッサーは2GHzのNVIDIA Tegra 4i、RAMは1Gでストレージは16GB。通信方式はLTE/HSPA+、WiFiなどをサポートする。
Silent CircleとGeeksphoneは今年はじめにBlackphoneの開発を発表、2月のMWCで正式にローンチし、事前予約の受付を開始した。SGPでは事前予約の数を公開していないが、「圧倒的な需要があった」としている。第一陣の出荷を受け、SPGは予約受付を再開している。