5月15日、日本IBMは、クラウドの運用や資産管理を実現する5種類のSaaSの提供を開始した。発表会では、4月に発表されたPaaSの「BlueMix」とともにIBMのクラウドビジネスのコアになるIBMのSaaS(Software as a Service)戦略についても説明された。
SaaSソリューションと体験できるポータルサイトも用意
今回発表された5つのサービスのうち、3つはデータセンターやクラウド管理を実現するソリューションになる。ITサービスマネジメントを実現する統合管理ソリューション「IBM SmarterCloud Control Desk」、アプリケーションのパフォーマンスを管理する「IBM Performance Management」、複合型のIT・ビジネスワークロードを容易に管理する「IBM Workload Automation」が提供される。価格は、IBM SmarterCloud Control Deskが月額42万5000円~(同時接続10ユーザー)、IBM Performance Managementが月額1万7200円~(平均監視対象サーバー(OS)1台あたり)、IBM Workload Automationが月額8820円/月間実行1000ジョブ。
また、資産・保全管理としてグローバルで高い実績を誇る「IBM Maximo Asset Management」「IBM Maximo Inventory Insights」もSaaS型での提供が開始される。価格はIBM Maximo Asset Managementが68万2000円より(同時接続10ユーザー)、IBM Maximo Inventory Insightsが月額49万9800円と1万4300円/ユーザーとなっている。これらのアプリケーションはグローバル10都市で提供されているSoftLayerデータ・センターにホストされている。
5つのSaaSソリューション
これらのソリューションは「IBM Service Engageポータル」で体験できる。ビデオによる製品概要の紹介、サンプルデータの組み込まれた製品にアクセスできるライブでも、ユーザー自身が想定したデータを実際の製品に入力して評価できる「30日間トライアル」などが用意されている。
自社開発と買収で100を超えるソリューションを用意
発表会に登壇した日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏は、従来コスト削減の手段として位置づけられていたSaaSがイノベーションの入り口になるつつあると指摘。ビジネスの要求に対する迅速性や柔軟性のために不可欠になっているとした。
日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏
IBMのクラウド戦略は、パブリック、プライベート、ハイブリッド、オンプレミスなどさまざまな選択肢を提供するのが基本。グローバルなIaaSであるSoftLayerや4月に発表されたばかりのBlueMixに加え、自社および買収したソフトウェアをクラウド型で提供するSaaSソリューションの拡充に力を注いでいるという。
IBMのSaaS戦略として、マハジャン氏がアピールしたのが、100を超えるソリューションのラインナップだ。2012年だけでも、Worklight、Intractive、tealeaf、Trusteer、2013年にはurban code、MessageSight、Xtify、The Now Factoryなどを買収し、モバイルやセキュリティ、DevOpsなどの分野を強化。フロントオフィスからバックオフィスまで幅広いソリューションを取りそろえ、SaaSとして展開している。
IBMのSaaS戦略
「すでに日本でも50万人以上が利用している。グローバルだけではなく、日本でも高い実績を上げている」(マハジャン氏)とのことで、実際の導入企業も披露された。もちろん、エンタープライズの業務に耐えうるセキュリティ、可用性、拡張性も備えており、長く使えるものになっているという。