スマートフォン市場のフォーカスがハイエンドからミッドレンジやローエンドに移る中、注目を集めるベンダーも変わりつつある。ここ数年、(訴訟も含めて)AppleとSamsungの2強が見出しを飾ってきたが、今年は中国ベンダーがスポットをさらいそうだ。
巨大市場に支えられあっという間に世界4位にのし上がったLenovoは、Motorola Mobilityを吸収する予定だし、Huawei Technologiesはハイエンドブランド構築とローエンドを平行して進めている。そして国際展開を本格化させるXiaomi(シャオミ)が今回の話題だ。
Xiaomiの現在のフラグシップ「Mi3」。同社のサイトからもわかるように、確かに何かに似たデザインや見せ方なのだが、それでもこれまでの中国メーカーのイメージとは異なる、洗練された端末や販売方法なのも確かだ
月間ベースの販売台数で
ついにAppleとSamsungを超えた!
中国におけるXiaomiの勢いはあちこちで取り上げられているので、すでにご存知の方も多いだろう。「Mi」ブランドでAndroidスマートフォンを展開する同社は、つい先月に4周年を迎えたばかりだ。Lei Jun氏が創業し、現在もCEOを務める。スタイリッシュなデザイン、高スペック、そして巧みなブランディングが奏功し、昨秋に発表した最新のフラッグシップ「Mi3」は発売後すぐに10万台売れたという。
ちなみに中国のスマートフォン市場の現状はというと、やっぱりSamsungとAppleが強く、これにLenovoが急速に追い上げている格好だ。地元ベンダーとしてはHuawei、ZTEも忘れてはならない。これらの中にあって、XiaomiはCoolpadなどとともにスマホ時代の新しいベンダーとして位置づけられるが、その伸びは倍増ベースで、頭一つ抜けた感がある。2012年には719万台だった出荷台数は、2013年には1870万台に。年間成長率は160%増という驚異的な数字だ。2014年はさらに倍以上の4000万台を目標に掲げている。
中国内でのシェアを見ると、2013年第4四半期にAppleを上回る11%のシェアをとった。これにより、1位Samsung(18%)、2位Lenovo(12%)に続く3位に浮上している。4位のAppleは10%だった(Counterpoint調べ)。月間ベースで集計しているKantor Worldpanel Comtechによると、2013年12月にXiaomiの販売台数はSamsungとAppleを超えたのだという。
インド、ブラジル、ロシアなど10カ国に拡大
ファブレット、タブレットも?
中国につづいて、すでに香港と台湾に拡大しているXiaomiだが、今年は本格的な国際展開の年となる。第一弾として2月にはシンガポールに進出済み。今後インド、ブラジル、ロシア、トルコ、マレーシア、インドネシアなど、年内に10ヵ国進出を図る。
この国際展開をリードするのが、Google時代はAndy Rubin氏とともにAndroidの看板役もつとめ、2013年の移籍がちょっとした騒動になったHugo Barra氏だ(関連記事)。
ブラジル出身のBarra氏はGoogle+上で国際展開について発表。国外市場でも中国と同様に低価格戦略を進めるとした。Xiaomiはこれに合わせて、ブランディングも統一させており、スマートフォンブランドと同じ「mi.com」を360万ドルで確保した(miはMobile Internetの略)。原則的に直販のみの同社にとって、ウェブサイトはいわば生命線。Xiaomiはスマートフォンなどのモバイル端末のほか、周辺機器などもウェブ上で販売している。
国際展開は端末だけではない。Xiaomiは自社端末用に開発したAndroid上のUIである「MIUI」(http://en.miui.com/)の輸出も進めている。MIUIは「Androidを再定義する」というキャッチのもと、通話とSMS、セキュリティーとプライバシー保護、ロック画面カスタマイズなどの機能を組み込んだものだ。
上記のサイトから対応端末向けのROMイメージをダウンロードできる。2013年末ですでに3000万のダウンロードがあり、このうち200万が中国外からという。20ヵ国以上で”ファンサイト”も立ち上がっているようだ。
製品面でも拡大を図る。Xiaomiは3月、5.5型画面を搭載した初のファブレット「Redmi Note」を発表している。価格は約130ドルから。なんと1500万人から事前予約があったという。また5月に入り、同社がタブレットを開発中であるとReutersが報じている。すでに部品も発注済みとのことだ。
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