今回のことば
「オラクルは、競合他社によって、クラウドのリーディングカンパニーであることが証明された」
(日本オラクル・遠藤隆雄社長)
日本オラクルは、2014年度事業戦略を発表した。
日本オラクルの遠藤隆雄社長は「Market Convergeの強化」「すべての製品で高いシェア」「Collaborationの促進」「顧客満足度の向上」の4つを事業方針のポイントに掲げながら、「日本オラクルは、Engineered SystemやSaaSビジネスが牽引し、過去3年間に渡って増収増益を達成した。今後も、カスタマーエクスペリエンス(CX)における数々の製品ラインアップ、グローバル経営支援体制、ビッグデータライフサイクルやアナリティクスをサポートする製品群の強みを生かして、企業を支援していく」などと、6月からスタートした同社新年度における抱負を語った。
CXの取り組みについては、ソーシャルメディアへの前向きな対応についても言及。「ソーシャルメディアで、自社に関する悪い情報が流れたときに、口に戸は立てられないと諦めている企業が多い。しかし、口に戸を立てることはできる。迅速にレスポンスすることで、悪い情報の広がりを水際で止めることができる」と語り、日本オラクルのソーシャルソリューションやビッグデータソリューションが、そうした課題を解決できるとした。
Salesforceとの連携はオラクルにとってプラスとなる
一方で、遠藤社長は、新年度の事業戦略を説明したあと、記者からの質問が及ぶ前に、米オラクルと米セールスフォース・ドットコムとクラウドサービスに関して提携を発表したことに触れて、「世界を代表するクラウド事業者がオラクルのプラットフォームを採用したことにより、ユーザーは、どこのサイトでもオラクルを活用できるようになる。つまり、オラクルプラットフォームをクラウドで利用するための選択肢が増えることになる」とする一方、「今回の提携によって、オラクルがクラウドのリーディングカンパニーであることを、競合他社から証明してもらったともいえる」と前置きし、「その実績によって、エンドユーザーがプライベートクラウドを構築する際に、オラクルのプラットフォームこそが最先端の技術であると認識して導入することができる」と胸を張った。
今回の提携が、オラクルのビジネスにとって、プラスになると見込んでいるのだ。
オラクルとマイクロソフトの提携内容の詳細は今後明らかになるが、Oracle Databaseをはじめとするオラクルの製品が、Windows Azure上で利用できるというもの。また、オラクルとセールスフォース・ドットコムの提携では、セールスフォースのクラウド基盤に、オラクルのOracle DatabaseやExaDataなどを利用するという内容だ。
すでにAmazon Web ServicesでOracle Databaseをサポート。ネットスイートも同じタイミングでオラクルとの提携を発表している。
米国本社同士の提携であることから、まだ日本法人には具体的な内容が伝わっていないようで、日本オラクルの遠藤社長は、「現時点で、両社で一緒になにかを発表することはない」と語り、日本マイクロソフトの樋口泰行社長も、「具体的な発表の計画はないが、ユーザーへの対応において、混乱が起きないように、両社の間で技術的なすり合わせをしていく必要があるだろう」とする。
だが、今回の相次ぐオラクルの提携発表は、遠藤社長がいうように、オラクルの製品が業界標準のクラウド基盤としての位置づけを一気に高めたのは間違いない。クラウドサービスそのものでの出遅れを、クラウド基盤の観点から存在感を高めることで、プライベートクラウドやハイブリッドクラウド市場における一手が明らかに打ちやすくなる。
遠藤社長は、「提携する会社と食い合うのではなく、相乗効果で売り上げ増につなげたい」とするが、これはオラクルの立場だからこそいえること。 次のオラクルの一手はどうなるか。気になるところだ。
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