前回(関連記事)では「3DMark」の種類と使い方を解説したが、3DMarkをもっと知るための連載第2回目は、ゲーミングPC、具体的にはビデオカード(GPU)の描画性能を比較するために用意されている「Fire Strike」にフォーカスを当てて解説しよう。このテストではDirectX11のどんな機能が使われ、GPUの何が試されているのかを解説していきたい。
前回より具体的な話をしたいため、主要なGPUのテストごとの評価もチェックする。そのために準備したハードは以下の通りだ。さらに内蔵GPUの代表として、Core i5-3570K内蔵の「Intel HD Graphics 4000」も評価に加えた。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Intel「Core i5-3570K」(3.4GHz) |
マザーボード | ASUSTeK「P8Z77M-PRO」(Intel Z77) |
メモリー | Patriot「PSD38G1600KH」(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×4) |
ビデオカード | GeForce GTX 680(リファレンス) GeForce GTX 660Ti(リファレンス) GeForce GTX 650Ti(リファレンス) GeForce GTX 450(リファレンス) GeForce 7900 GS(ASUS) Radeon HD 7970(リファレンス) Radeon HD 7870(リファレンス) Radeon HD 7770(リファレンス) Radeon HD 6850(リファレンス) |
SSD | Intel「SSDSC2CT240A4K5」(Serial ATA 3.0、MLC、240GB) |
OS | Windows 8 Professional 64bit版 |
グラフィックドライバー | Catalyst13.4、GeForce 312.22 |
なぜ「Fire Strike」でないとダメなのか?
「Ice Storm」と「Cloud Gate」では差が出にくい
ビデオカードに搭載されたGPUの評価には「Ice Storm」や「Cloud Gate」は適さないと前回の記事で解説したが、その理由を実際の数値を出しながら解説したい。まずは前述のハード構成で「Ice Storm」と「Cloud Gate」を動かした際のスコアを比較してみよう。
負荷の軽い「Ice Storm」では内蔵GPUでも4万点以上軽く出せる
このテストでは現行のミドルクラス以上のGPUでは軽く10万点を超えている点に注目。GTX680とGTX660Tiのスコア比に注目してみると、わずか1%しか差がない。現実のゲームの性能差は明らかにGTX680>GTX660Tiなのに、そのパワー差が小さく評価されすぎている。内蔵GPUとの比率を考えてみても、GTX680はHD4000の3~4倍高速という評価は明らかに小さすぎる。負荷が軽すぎて最新GPUの評価には使えないという理由はここにあるのだ。
「Cloud Gate」では上位GPUの差ははっきりしてきたものの、まだ十分に差がつけられていない
こちらは「Cloud Gate」のベンチ結果。DirectX10相当だから最新GPUの評価には使えないという点はもちろんだが、こちらも上位GPUのスコア差が小さ過ぎる。AMDのAPU「Aシリーズ」に内蔵されたGPUやモバイル向けGeForceなどの評価には使えるが、現行ビデオカードの評価には負荷が足りない。
前置きが長くなったが、次のページから「Fire Strike」の各テストの内容を解説していくことにする。
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