医療機関として保管が義務づけられている診療データ。しかし、震災時やシステムトラブルで、院内保管している画像データが消失する危険性がある。そこで、安全なクラウドに保存することで、万一消失しても速やかに復元でき、医療サービスの継続を維持できる。
また、医用画像を保管するためのストレージが不要になり、導入コストやランニングコストの削減も可能にする。クラウドに保存した過去画像は素早く取り出せるため、実際の印刷画像を必要としない、シームレスな運用を実現できるメリットがある。
東芝は、Amazon Web サービスが提供するクラウドサービスを利用し、医用画像外部保存サービス「Healthcare@Cloud」の本格運用を発表した。
医用画像の外部保存サービスの仕組み図
これに利用されるのはAmazonウェブサービスが提供するクラウド日本を含めた世界8つの地域にデータセンターを配置している。それらの組み合わせた冗長化サービスも提供している。
冗長化とは、予備のシステムを稼働させておくことで、一部の設備が故障してもサービスを継続できるようにしておくこと。身近なのは、1台のHDDが壊れても大丈夫なように、もう1台のHDDにバックアップをすること。他にもWebサーバーを数台平行して稼働させたり、ネットワーク回線を2本用意しておくなどがある。
気になるのは医療情報を外部保存する際の安全性だが、本サービスは厚生労働省、経済産業省、総務省のガイドラインに対応している。また、個人情報漏えい防止等を実現するための様々な技術的対策、そしてISO27001/ISMSに基づいた運用管理も実施することで、医用画像の原本保存を可能にしているとのこと。
東芝は今後、病院間連携や病診連携、遠隔読影といったクラウドサービスで、保存データのさらなる利活用を目指すとしている。
たとえば歯医者の場合、病院を変更すると、毎回問診票を記入してレントゲンを撮影し、自分の虫歯状況を担当医に説明する手間があるうえ、初期検査もタダではない。病院間の完全な情報共有とまではいかずとも、どこかの病院で直近に撮影したレントゲン画像などがクラウドに保存されているのなら、それにアクセスするパスコードなどを発行してもらい、別の病院に伝えるだけで済むというようなサービスが始まれば便利だ。