“Mango”ことWindows Phone 7.5がついに世界的にローンチされた。Windows Phone 7端末を持つオペレーターは対象端末を持つユーザーに向けてアップデートを開始する。最新機種もHTC、Samsungの2大メーカーから登場し、次はNokiaからのリリースを待つ形となった。MangoでMicrosoftは、AppleとGoogleが主流のスマートフォンの流れを多少なりとも変えられるのだろうか?
シェアはわずか1%台
Windows Phone 7.5は本当にここから盛り返せるか
日本では世界に先駆けて8月25日にWindows Phone 7.5を搭載した富士通東芝「WIndows Phone IS12T」を発売したが、MicrosoftがWindows Phone 7をローンチしたのは2010年10月のことだ。
しかし、これまでの結果は必ずしも良好とはいえなかった。Gartnerの2011年第2四半期のデータではシェアはわずか1.6%。Android、Symbian、iOS、BlackBerry(RIM)、さらにはBada(Samsung)の次の6位で、Windows Phone(Windows Mobile) 6.5時代の前年同期と比べても、4.9%から3.3ポイントのダウンとなる。たとえば英国のオペレーターである“3”はSamsungの「Omnia」の販売を中止し、Samsung製端末はAndroid搭載のGALAXYラインのみにしている。
Mango搭載機種としては、IS12Tのほか、HTCが「HTC TITAN」「HTC Radar」の2機種を、Samsungが「Omnia W」を発表している。オペレーター側からは、アメリカのAT&TがHTCとSamsungの計3機種を投入すると発表している。
Mangoは500以上の新機能を持つというが、機能面ではソーシャル面の強化が特徴だ。「Windows Live」「Facebook」「Twitter」「LinkedIn」などと連携し、これまでアプリ単位でバラバラになりがちだった知人とのコミュニケーションを一元管理できる。外見では、ライブタイルによるUI「Metro」でiPhoneやAndroidとの違いを打ち出した。マルチタスク、コピー&ペーストのサポート、テザリングなどもある。
NokiaのWindows Phone 7.5端末が今年の注目
WP7でNokiaは復活できるのか?
Mangoの(最初の)クライマックスは、Nokiaからの端末発表になるだろう。今年2月にMicrosoftとの戦略的提携を発表した際、Nokiaは年内に最初のWindows Phone搭載機を発表すると述べていた。Nokiaは恒例の年次イベント「Nokia World」を10月26日に英ロンドンで開催することになっており、ここで発表される可能性がある。
なお6月にNokiaが開催した非公開のイベントでは、CEOのStephan Elop氏が“Sea Ray”というNokia初のWindows Phone端末を披露したと伝えられている。Elop氏はここでMeeGo搭載機「Nokia N9」を紹介したあとで、新戦略に移行するにあたってもN9で培った技術は生き残る(投資の正当化?)という流れで、「(N9の)優美なインダストリアルデザインが引き継がれる例」としてSea Rayを披露している。ネット上に出回っている動画などからして、Sea RayはN9とそっくりな外観を持つ端末(Sea Rayは側面のボタンが1つ多い)のようだ。
神頼みならぬNokia頼みのMicrosoftに対し、社運をかけるNokiaにしてみれば、Windows Phone端末の出来と結果は自社の存続にかかわる。NokiaとWindows Phoneが手を取り合って起死回生となるか、今年の年末商戦は第1ラウンドとなる。
それ以外にMango端末を開発する可能性があるベンダーは、Windows Phone 7搭載機の実績を持つLGがある。そしてまだWindows Phone 7端末はリリースしていないもののSony Ericssonもある。Sony EricssonはAndroidに傾倒しているが、Windows Phoneの可能性を否定していない。
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