MSI主催のオーバークロック世界大会「Master Overclocking Arena」の日本代表を選出する国内決勝戦が、OVERCLOCK WORKSで開催された。
国内決勝戦は、世界大会本戦と同じルールでスタートした。機材は規定により、MSI製マザーボード「Z68A-GD80」、MSI製ビデオカード「N580GTX Lightning」、そして「Windows 7 Ultimate(64bit版)」を必ず使用しなければならない。それ以外のパーツは参加者の自由だ。
ベンチマークソフトの「Super PI」と「3D MARK11」のスコアを競い、総合的に高いスコアを叩きだした上位2名が、日本代表としてインドネシアのジャカルタで行なわれるアジア予選へと駒を進められる。そのアジア予選でも好成績を収めると、台北で行なわれる世界大会決勝に参加できるという仕組みだ。
Super PIのスコアでは、CAL930さんが1位突破、続いてGyrockさん、Booooonさんと続く。後半戦の3D MARK11のスコアのほうが総合ポイントをより稼げる。3D MARK11のスコア次第では逆転もありうるため、まだまだ気は抜けない。
後半戦は3D MARK11のトータルスコアを競う。3D MARK11はかなりPCに負荷がかかるうえに、CPUとビデオカードの両方の温度管理が重要となる。全員液体窒素冷却に組み換え、極限のオーバークロックに挑む
最初は余裕を見せていた選手たちだが、電圧を2.1Vまで上げてメモリを壊してしまったり、コールドバクに遭いドライヤーを使って冷却装置を温めていたら、電源タップのブレーカーが落ちてPCが突然停止したりと、ハプニングがあるたびに、だんだん顔つきが厳しくなっていった。
そしてついに計5時間に及ぶオーバークロック大会が終了。総合優勝はCAL930さん、2位はBooooonさんとなった。
大会終了後に、今大会を主催したMSIにちょっと意地悪な質問をしてみた。「節電が叫ばれる日本で、あえてオーバークロック大会を実施した理由」だ。気になるその回答は以下のとおり。
「この大会で得たノウハウを製品開発に役立てるのが目的。たとえば自動車のスピードを限界まで速めれば、その対価として安全性や燃費などが犠牲になるが、それこそがより良い技術の発展につながる。PCパーツも同じこと。製品の限界を知ることで、耐久性や省電力といった技術の向上につながる。一時的に電力を使ってしまったとしても、決してそれを無駄にはしない。その対価として必ず省エネに結びつくよう開発に役立てる」とのこと。
この精神が同社のDrMOSといった独自技術を生み出したのだろう。今後、よりいっそう省電力製品の開発に力を入れてもらいたいところだ。