黎明期からようやく助走期間になろうとしているLTE
12月24日、NTTドコモがLTEによる新サービス「Xi(クロッシィ)」を開始した。3G(UMTS)では先陣を切って「FOMA」をスタートしたNTTドコモだが、LTEでは世界初の商用サービスがスタートしてから1年の間を置いてローンチした。今回は世界のLTE動向を見てみたい。
LTEは、3Gの拡張であるHSPAをさらに発展させるという意図で標準化された高速データ通信規格だ。最大速度は下り100Mbps以上と言われる。LTEを提案したのはNTTドコモで、当時“スーパー3G”と称していたものを基に、標準化団体の3GPPが仕様を固めた。
そのLTEの商用サービスは2009年12月14日に北欧で始まった。この日、北欧のオペレーターであるTeliaSoneraが、本拠地のスウェーデン・ストックホルム、ノルウェー・オスロの2都市で世界に先駆けてローンチした(TeliaSoneraはスウェーデンのTeliaとフィンランドSoneraが合体したオペレーターで、北欧とバルト3国を中心に展開している)。
TeliaSoneraのLTEサービスで用いられた端末はSamsungのLTE専用USBドングルで、データ通信を必要とするビジネスユーザーをターゲットとした。価格は月599スウェーデンクローナ(約7250円)。同社のLTEとHSPAの両サービスを比較すると、速度はLTEの下り最大20~80Mbpsに対し、HSPAは最大16Mbpsなので5倍高速になる。価格はLTEがHSPAの2倍である(割引無しの場合)。
だが、ユーザー数はすぐには増えなかった。サービス開始後5ヵ月の時点(2010年5月)で、加入者は2都市合わせて1000人程度。原因の1つに、端末がLTE専用でHSPA(3G)や2Gに対応していない点がありそうだ(同社は3Gモデムも無料でセットしている)。カバーエリアも限定的だ。これらは3G開始当時と同じ課題と言える。
先行者ならではの課題を痛感しながらも、TeliaSoneraはLTEローンチ計画を着実に進めており、2010年11月にフィンランド、12月にデンマークとエストニアでもスタート。現在5カ国でLTEを提供している。
TeliaSonera以外としては、ロシアのMTSが7月にウズベキスタンで(TeliaSoneraに次ぐ第2号となった)、ポーランドでも9月に提供を開始、12月1日にはドイツでVodafoneが、さらにアジアの第1号は11月スタートの香港のCSLである。
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