巨大市場、中国にスマートフォンブームが押し寄せつつあるようだ。欧米ベンダーが中国向けの機種を発表し、中国メーカーは国内外を視野に入れた端末戦略を展開している。共通するキーワードが「Android」。今回はMotorolaとSony Ericssonを中心に中国のスマートフォン動向の最新情報をまとめてみたい。
MotorolaとSony Ericssonが
相次いで中国向けスマートフォンを発表
Motorolaは8月30日、「MING」ブランドを用いた3機種のAndroid携帯電話を発表した。China Mobile向けの「MT 810」(TD-SCDMA)、China Unicom向けの「A 1680」(W-CDMA)、そしてChina Telecom向け「XT 806」(CDMA EV-DO)となる。たとえばMT 810は、China Mobileの独自Android「Open Mobile System 2.0」を搭載(OPhone用のOS)。3.2型タッチパネル、5メガピクセルカメラ、HD動画(720P)再生、中国独自のモバイルテレビである「CMMB」対応などを特徴とする。
前述した「MING」について触れておくと、2006年にMotorolaが発表したブランドで、Linuxベースの初代機はスタイラスを利用した手書き文字入力を特徴とし、初年度で300万台以上を売り上げたという人気端末だ。8月30日に発表した最新の3機種もすべてスタイラス付きで中国語入力をサポートしている。
Motorolaは現在中国でシェア3位を誇る。一時期は王者のNokiaに次いで2位につけたが、現在は世界市場でのシェアを反映し、Samsungの後塵を拝している。だが最近はアメリカ同様、中国でもAndroidで挽回を図る戦略を積極的に進めている。
今年に入りすでにAndroid端末を11機種発表しており、中国向けアプリマーケット「Shop4Apps」も開設した。特徴はこれまでにつちかった中国市場での経験を生かしたローカライズ。最新のMING機種に見られる中国語対応のほか、Shope4Appsでは人民元での支払い、中国でよく利用されているオンライン決済サービス「AliPay」対応などいくつかの決済オプションを用意している。
一方のSony EricssonもAndroidでスマートフォンのシェアを狙う戦略を進めており、中国市場もやはりAndroidで攻めるようだ。
そのSony Ericssonが8月31日に発表したのはChina Mobile向けの「A8i」。同社初のTD-SCDMA対応機種で、OSにはMotorolaのMT 810同様、China MobileのOMS 2.0を搭載した。3.5型の画面を搭載、4倍デジタルズーム可能な5メガピクセルカメラを搭載した。CMMBのサポート、Sony Ericssonの楽曲検索サービス「TrackID」なども特徴となる。
Sony Ericssonは中国市場でシェア4位。中国ではすでに2番手China Unicom向けに端末を提供しており、今後Androidを軸に中国向けの端末ラインナップを強化する方針だ。同社CEOのBert Nordberg氏はWall Street Journal紙に対し、「2015年にはスマートフォンの普及率は全体の5割に達する」という中国市場についての見通しを明らかにしている。
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