2010年は家電では「3D元年」と呼ばれているが、この波はPCも同様である。今年の夏モデルでは、東芝、NEC、富士通、ASUSTeKといったPCメーカーから続々と3D対応モデルが発表された。既に3D対応はPCに搭載される付加機能の1つとして、その座を確立しつつあると言っても過言ではない。
では、今回発表された3D対応モデルの使い心地はどうなのだろうか? 何をどれだけ3Dを立体的に見ることができるのだろうか? 早速試してみることにした。
3Dの表示方式は2つに分かれる
PCの場合、3Dの表示方式は大きく2つに分類される。1つ目は、右目用と左目用の画像を1ラインずつ交互に表示する「偏光フィルター方式」。偏光フィルター搭載のメガネにより、左右の目にフィルターで分離した右目用の画像と左目用の画像をそれぞれ見せることで、実物の景色のように脳が立体的に映像を認識してくれる。
2つ目は、これまでの3Dテレビの回で紹介してきた「アクティブシャッター方式」。1つの画面で右目用と左目用の映像を1秒間に120コマで交互に切り替える(テレビでは240コマ/秒での駆動が多かったが)。画面の切り替えと連動するシャッター付きメガネをかけることで、左右の目に別々の映像を見せて立体的に認識させる。
これまでに発表された3D PCは、偏光フィルター方式とアクティブシャッター方式の両方がラインナップされている。それぞれのメーカーの機種で分類すると以下のようになる。
偏光フィルター方式
左が富士通「FMV ESPRIMO FH550/3AM」、右がNEC「VN790/BS」。偏光フィルター方式はメーカーによって採用しているソフトも、使える3D機能も異なっているため、メーカーの独自色が栄えるのが特徴だ
アクティブシャッター方式
左が東芝「TX/98MBL」、右がASUSTeK「G51Jx 3D」。アクティブシャッター方式はどちらの機種もNVIDIAの「3D Vision」を利用している。このため、メーカー独自というよりも、3D Visionをプリインストールした機種と言った方がいいだろう。なお、どちらの機種も3D表示に対応するために、120Hz表示可能な液晶ディスプレーを搭載している
この2のつ方式には、利点と欠点があるため、現段階ではどちらが良いとは言い難いが、どちらも3Dを表示する有効な手段である。PCの視点で見た場合の利点と欠点は以下の通りだ。
偏光フィルター方式の利点/欠点
- ◎:3Dメガネに偏光フィルターが貼られただけの簡易な構造のため、メガネの重量が軽い。電源も不要
- ◎:ちらつきがなく、目の負担が少ない
- ◎:フルスクリーン、ウィンドウモード、どちらでも3Dを見られる
- ◎:YouTubeなどのネット動画の3D画像に対応している
- ×:液晶の走査線が交互に右目用と左目用に分割されるため、解像度が半分になる
- ×:3Dで見られる場所が正面に限定される(角度がつくと、3Dとして見られない)
- ×:映像にくし型のノイズが出る場合がある
アクティブシャッター方式の利点/欠点
- ◎:偏光フィルター方式に比べ、解像度を落とすことなく細かい描写ができる
- ◎:くし型ノイズが起こらないため、画面の隅々までしっかりと描画され3Dの効果が得られる
- ◎:左右/上下と3Dで見られる視野角が広い
- ×:3Dメガネがシャッター動作するため、電源が必要となり充電をしなければならない
- ×:蛍光灯下では地域によって50Hzと60Hzの設定を合わせないと、ちらつく場合がある
- ×:フルスクリーンモードで動作させる必要がある
この連載の記事
-
第5回
AV
プラス7万円でできる!? 3Dパソコンを自作する -
第3回
AV
期待の液晶勢をチェック! ソニー&シャープの3Dテレビ -
第2回
AV
プラズマのパナ VS 液晶のソニー 3D対決! -
第1回
AV
3DテレビとBDレコは別メーカーでOK? 3Dの仕組み解説 -
AV
テレビからPCまで! 注目の3D機器を体験しまくる!! - この連載の一覧へ