「2009年衝動買いガジェット」の最有力候補だが……
さらに驚くべきところは、この薄い本体にインターフェースを押し込んでしまっていることだ。Ethernetや標準のVGA出力、2つのUSBポート、SDカードスロットとメモリースティックスロット、ヘッドフォン端子、ケンジントンロックなど、おおよそ現代のモバイルPCに必要不可欠なものは揃っている。
薄過ぎる本体には、時代物のEthernet端子は収納しきれていないが、逆にコネクターの一部を指先で押し下げて開放することでケーブルを挿入できるという点は、ガジェット好きに「しびれるトリック」だ。
以前使っていたVAIO type Pでは、拡張ボックスを携帯し忘れた途端、ホテルの部屋で有線LANに接続できずに、クライアント先でのプレゼンを諦めざるを得ない状況に追い込まれてしまう。そういう意味で、VAIO Xは1台目のモバイルPCとしてのユーザーも意識した商品なのかもしれない。
筆者は、契約しているイー・モバイルのUSBスティック型通信モジュール「D31HW」を解約して、VAIO Xが標準搭載しているFOMA HIGH SPEED回線の契約に切り替えるかどうか悩んでいる。WAN接続の機能はモバイルPC本体に内蔵されているのが理想だ。それはVAIO Xを筆者のモバイルPCのメインに位置づけて、ThinkPad X200sからVAIO Xへの移行を意味する。
しかし、今のところ、たった一台のVAIO Xだけでモバイルライフを快適に過ごせる自信がないのが正直なところだ。筆者の頭の中には、「プロフェッショナルが仕事でお金を稼ぐ道具としてのThinkPadX200s」「稼いだお金を注ぎ込んで買って楽しむガジェットキングとしてのVAIO X」という醒めた現実感があるのだ。
VAIO Xは、「2009年衝動買いガジェット」の最有力候補であることは間違いない。しかし、プロが使う道具は、軽いとか薄いとかスタイリッシュとか、外観のデザインが主導ではなく、本来の目的を100%達成するための必然性から生じる、合理的な美しさが必要だ。
すべての点において100点満点のモバイルPCは、理論的には存在しても、その実現は極めて難しいことは過去のパソコンの歴史が証明している。ユーザーは、やはり自分が絶対に譲歩できない条件を明確にして、目的の商品を選ぶ必要があるのだ。
しばらくは以前に整えたクラウド環境を活用して、ThinkPadX200sとVAIO Xの楽しい二刀流を続けてみようと考えている(関連記事)。
今回の衝動買い
アイテム:VAIO X(Atom 2GHz、128GB SSD、プレミアムカーボン)
価格:11万9800円(Sony Styleにて購入)
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
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